四、内需拡大は経済発展の必然的な結果
金融危機は内需拡大の主な理由ではありません。内需拡大は中国経済の規模が拡大しつつある必然的な結果です。金融危機が発生しなくても、内需を拡大すべきだと思います。消費、投資、政府入札や輸出など、いずれも経済成長を促す役割を果たしています。経済成長を促進するため、輸出だけに力を入れることは危険です。外部の環境がいったん変動すれば、対応が間に合わない恐れがあります。これは今まさに中国が直面している問題です。
1997年に金融危機に陥った東南アジア諸国は、経済成長を促すため、外需にだけ力を集中させていました。小さな経済体が、経済を成長させるため外需に頼ることはやむをえないかもしれません。中国のような、人口が多く、経済が著しく成長している経済大国は、外需拡大にだけ取り組むことは危ないと思います。理論であれ実践であれ、消費と企業による投資は、経済成長を牽引するうえで最も確実で信頼できる原動力でしょう。
外需拡大から内需拡大へ変換するには、政策たとえば財政体制の改善が必要です。整った社会保障制度を打ち立てて初めて、消費者は心配せずにお金を使うことができます。ここ数年、歳入がGDPに占める割合はどんどん高くなっていますが、住民所得はほとんど増えていません。このままだと、内需拡大はほぼ不可能になってしまいます。歳入の増加幅がGDPの伸び率をはるかに上回るのは正常なことでなく、継続していくことも無理です。
五、中国への影響は主として心理的なもの
米株価の下落は中国の株式市場に影響を与えていますが、主として心理的なものだと思います。1年以上続いてきた中国株価の下落によって、中国の株主が経済の不景気や非流通株の改革に対し、配慮していることが十分反映された結果だと思います。中国の経済成長は依然として強みで、政策の調整が適切であれば、今後の伸び幅はまだまだあると思います。株式市場運営を維持する基礎は依然として安定しているので、中国の株式市場は金融危機に陥った海外の株式市場ほど不況になるわけはありません。株式市場の景気回復は中国経済の成長に不可欠なもので、適切な対応策が打ち出されていない現在はなおさらです。
1972年にノーベル経済学賞を受賞したケネス・J・アローさんの見解に賛成します。アローさんはこのほど上海で、「米国の金融危機は1年後沈静化する見込みだ」との考えを示しました。金融危機の影響を誇張しても、問題解決に役立たず、恐慌を悪化させるだけです。(翻訳:KH) 1 2
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