ロシア海軍のデガロ大佐は5日、記者会見で「重原子力ミサイル巡洋艦『ピョートル大帝』を始めとするロシア海軍艦隊は本日、ジブラルタル海峡を通過し、地中海に入った。艦隊は地中海沿岸諸国の港を訪問するほか、カリブ海に赴き、11月に実施する予定のベネズエラとの軍事演習に参加する」と明らかにしました。ロシア軍が頻繁に軍事演習を行っていることは世界の注目を集めています。
最近、ロシア軍は戦略的な意図を持って各地で頻繁に軍事演習を行っています。最新の報道によりますと、ロシアの戦略爆撃機は6日からアメリカのアラスカ州に近いロシア北極地域で巡航ミサイルの発射演習を開始するということです。これはここ数年で初めて、かつ最大規模の軍事演習で「スタビリティー2008(安定2008)」という大規模な軍事演習の一部分でもあります。
また、この「スタビリティー2008」のもう一つの要素となる一カ月わたる合同軍事演習がロシアとベラルーシの各地域で実施されます。この演習には、軍隊およそ6万人、戦車1500台が参加し、陸上・潜水艦原子力ミサイルなどを用いて、武装部隊の戦略的配置を演習します。このほか、極東ロシア空軍と海軍太平洋艦隊がすでに極東太平洋地域で軍事演習を行ったほか、西部のバルト海艦隊も地域での軍事演習を終結したばかりで、さらに、黒海艦隊は黒海や地中海でNATO・北太平洋条約機構の艦隊とにらみ合っています。
専門家は、ロシア軍が最近、頻繁に軍事行動を行っている原因について次の三つを挙げました。
まず、一つ目はロシアとグルジアの軍事衝突との関わりです。ロシアの『インディペンデント』紙によりますと、ロシアとベネズエラが合同軍事演習を行う計画は以前からありましたが、最初、ロシア軍は太平洋艦隊の水上艦艇4隻を派遣するだけの予定でした。しかし、グルジアとの軍事衝突が起き、北方艦隊旗艦の原子力ミサイル巡洋艦「ピョートル大帝」、原子力潜水艦、長距離爆撃機を派遣することになり、その演習規模を拡大しなければならなくなったことはあきらかです。
二つ目は、ロシアが苦心して選んだ軍事演習の場所からは、アメリカに対するロシアの明確な意図が感じられます。すなわち、ロシアは世界金融危機に対応する充分な財力を持つだけでなく、世界にその軍事力を誇示する実力もあるというのです。
三つ目は、根本的な原因でアメリカを始めとするNATOの勢力範囲が東側へ拡大し、ロシアの戦略空間が縮小しつつあることから、ロシアは自国の国家利益が脅かされると感じていることです。特に、今年8月に起こったグルジアとの軍事衝突によって、ロシアの危機感は高まっています。ロシアのメドベージェフ大統領はウラル地方で軍事演習を視察した後、軍幹部らに対し、宇宙防衛網の構築や巡航ミサイルを搭載可能な原子力潜水艦の建設などにより、2020年までに核抑止力を強化する方針を明らかにしました。
専門家は「全体から見れば、ロシアとアメリカの軍事力はひどくかけ離れている。ロシアの頻繁な軍事活動はアメリカと対抗する中でより主導権をとりたい」と見ています。
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