韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、現地時間28日午後、モスクワに到着し、3日間にわたるロシア公式訪問を始めました。今年2月の韓国大統領就任以来、初めてのロシア訪問となります。
韓国のメディアによりますと、今回のロシア訪問で、イ大統領は、両国外交関係の格上げに努めるほか、極東シベリア共同開発を含む経済協力や、エネルギー分野での協力を更に拡大する狙いがあるということです。韓国の政府関係者は「今回の訪問は、1990年国交樹立以来の両国関係にとって一里塚になるのでは」と評価しました。
また、関係筋によりますと、ロシア訪問期間中、イ大統領は、メドベージェフ大統領と首脳会談を行う予定です。これは、両首脳にとって年内2度目の会談となります。韓国大統領府は「今回の会談で両首脳は、経済協力と朝鮮核問題を中心に、航空協力や若者、文化、スポーツの交流の拡大策などについても話し合う。このほか、双方は、石油、天然ガス、鉱石、貿易、ハイテク、情報技術、航空、教育などの分野に関する30あまりの協力協定や覚書に調印して、その内容をまとめた共同声明を発表する」と明らかにしました。
アメリカ、日本、中国に次ぐロシア訪問という点にも韓国メディアから注目が集まっています。この訪問で、朝鮮核問題で重要な役割を果たす4カ国歴訪を全うするものとされています。「ロシアは、従来どおり朝鮮半島及び北東アジア地域で影響力を持つ国で、その西部地域の開発やアジア太平洋地域への石油パイプライン、朝鮮半島とヨーロッパを結ぶ鉄道などの長期プロジェクトも、北東アジア地域で戦略的優位性を持っている。ロシアとのパートナー関係を発展させることは、韓国の安全確保や経済面にも利益をもたらす」と韓国メディアは見ています。
また、エネルギーや資源に恵まれ、経済発展の将来性も高い国です。これに対して、石油自給率はたった3%という資源の乏しい韓国にとっては、いかに資金や技術面の優勢を生かして、ロシアとエネルギー協力を実現するかが、今後の課題となります。専門家は「韓国とロシアの経済関係の推進は、地域の平和と安定にもプラスとなる」と強調しました。
2012年にAPEC首脳非公式会合が開催されるロシアのウラジオストクでは、現在、道路システムなどインフラ整備のプロジェクトが進められています。韓国の政府関係者は「今回の会談でイ大統領は、韓国企業がこれらプロジェクトに参加することを支持するようメドベージェフ大統領に呼びかけると同時に、極東シベリア開発問題に向けても新たな道を切り開くだろう」と述べました。
一方の朝鮮核問題も今回の会談の焦点になりそうです。韓国メディアは「朝鮮半島の非核化は、朝鮮半島及び北東アジアの平和と安定にかかわっている。朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の中でロシアは重要な役目がある。核問題が難航する中でのロシア訪問は、さらに重大な意義がある」と語りました。(翻訳:コオリ・ミン)
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