北京市に住む会社員、張明さんは、「2008年北京オリンピックが近づくにつれて、交通がより便利になった。バス路線が増えると同時に、間隔も短くなった。通勤時間は、以前より1時間も短縮され、料金も6割引きになって安くなっている」と話していました。
ここ数年、北京オリンピックを迎えるため、中国は大気汚染の削減から公共交通のレベルアップなど、さまざまな取り組みをしてきました。また、国民全員がスポーツに参加することをも促しています。
今、北京で開かれている全国人民代表大会と全国政治協商会議では、オリンピックが、その大きなテーマとなっています。
北京オリンピック組織委員会が打ち出した「環境にやさしいオリンピック、人文オリンピック、科学技術オリンピック」という理念は、いずれも庶民の暮らしと密接にかかわっています。たとえば、環境にやさしいという面では、環境改善に力を入れてきました。北京市は140あまりの汚染企業を移転したり、閉鎖したりしました。それに、1万台あまりの老朽化したバスや5万台あまりの古いタクシーを処分しました。それに代わって、およそ4000台の天然ガスによるバスを導入するなどの取り組みにより、北京の大気の質が大きく改善されました。これについて、全国政治協商会議の委員を務める劉敬民副市長は、
「北京市の大気の質が9年連続して改善されている。2007年の大気は、良好な青空を示す等級である2級または2級を上回った日数が、6割を超えている。今年2月末までの青空の日数は、去年同じ時期より13日多くなっている」と述べました。
オリンピックのため、北京市は37の競技場を建設しました。また、選手などが宿泊する「選手村」も、ほぼ完成しています。これらの施設は、オリンピックの後、市民に開放されることになっています。水泳などが行われる国家水泳センター「水立方」は、オリンピックの後、一部が市民の気軽に利用できるプールとなります。そして、国家体育場「鳥の巣」も、オリンピックの後、施設内のトレーニング器具などが、手ごろな値段で利用できます。
「選手村」は、一般の住宅地に変わります。北側は、森林公園になり、中にある国旗掲揚場はオリンピックの記念施設として永久に残され、観光地になります。また、南にある居住区は、高級住宅地となり、2009年に市民に売却されます。
北京および6つの会場都市の市民は、オリンピックの開催に強い関心を持っています。
北京市民は、「全員が主催者で、全員がボランティアだ」というスローガンを打ち出し、いろいろ工夫しています。英語の習得に熱心なことがその一つです。タクシードライバーで、45歳の郭さんは、その一人です。「会社はずっと社員の養成に力を入れている。私たちも、運転の時に、隙間を利用してオリンピックに関する知識を覚えたり、英語の単語を覚えたり、ちんぷんかんぷんの英語で外国のお客さんと会話したりしている。たとえば、北京へようこそ、ハローとかをすらすえら言えるように、しょっちゅう練習している」と話しています。
朝6時、早朝の北京はまだ薄暗いですが、張巧珍さんはすでに近くの公園に来ています。今年52歳の張さんは、毎朝ここでトレーニングしています。張さんは、トレーニングの目的についてこう語りました。「体を丈夫にして、元気を出して、そして、オリンピックの試合を見に行きたい」。
(翻訳 朱丹陽)
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