「われわれのエネルギー供給はピンチとなっており、環境問題も深刻になっている」。
このような表現は、近年の全国人民代表大会の年次会議や全国政治協商会議の場でよく耳にするものです。今年の会議期間中も、省エネや汚染物排出削減の話題が焦点となっています。
全国政治協商会議の委員を務める環境法の専門家・王曦氏は、記者の質問に答え、「省エネと排出削減は全国各地で進められている。2007年、中国のGDP当たりの消費エネルギーと主要汚染物の排出量は初めて低下した。この面での成果も見えてきた」と述べました。
中国は、早くから、省エネや排出削減、環境保護に取り組んできました。政府は、省エネと排出削減における統計、監督、検査そして評価制度を確立し、構造の改善に力を入れてきました。一方、消耗や排出の多い業界への規制を強化すると共に、省エネと排出削減に有利な価格政策、税収政策と財務政策を定め、省エネ法を採択して関連の法整備も進めてきました。
各地方政府は省エネや汚染物排出の削減を活動の重点にしています。エネルギー原材料工業は中国西北部にある甘粛省の基盤工業です。これについて全人代代表の徐守盛甘粛省省長は「我々は一部の汚染がひどく、エネルギー消費が高く、生産能力が低い企業の閉鎖をした。西北地区では、小型の製紙工場や鉄合金工場、亜鉛工場、コンクリートの生産ラインなどに加え、1300ヵ所の安全生産の条件が備わない鉱山も閉鎖した」と述べました。
各業界も省エネや汚染物排出の削減活動を展開しています。全人代の代表である広東喜之郎集団有限公司の李永良副総裁は「食品企業は鉱山や火力発電所などと異なるが、2年前から、我々は省エネや汚染物排出の削減を実施してきた。これまで生産用の水量が非常に多かったが、技術革新を通じて、用水量が下がり、汚水の排出も減少した。現在汚水の回収や再利用によって、一日当たり2000トンの水を節約できる」と述べました。
省エネの理念は一般市民にも受け入れられています。北京市民の趙迎春さんは去年から国民の省エネと汚染物排出削減活動に参加し、それに関する多くの知識を身につけ、日常生活に活かしています。これについて、趙さんは「これまで、夜になると、家のなかは電気が付けっぱなしだった。今では、電気スタンドだけを使い、人がいない部屋の電気は消すようにした。水や電気、また一ヶ月に1日だけ自家用車を運転しなければ、二酸化炭素の排出量を減らすことが出来る。住民の健康にもプラスとなる。特に、今年は北京オリンピックの開催に当たって、省エネの意識を強めるべきだ」と話しました。
社会の共同努力の下で、省エネや汚染物排出の削減は著しい成果を上げました。2007年、中国の単位GDP あたりのエネルギー消費は3.27%下がり、二酸化硫黄と化学的酸素要求量の排出はそれぞれ、4.66%と3.14%下がりました。
排出削減への努力は形となって現れています。北京を例にすると、年間の青空の日数は1998年の100日間から去年は246日間まで増えました。
省エネ・排出削減の成果が現れると共に、見逃すこともできない問題もでてきました。11日に行われた第11期全国人民代表大会第1回会議の記者会見で、国家発展改革委員会の解振華副主任は、「現在、企業は積極的に遅れた技術の淘汰を進めている。しかし、消費が大きく、汚染がひどい商品の生産を減らす力が不足しているため、省エネ・排出削減の施設整備が遅れている」とした上で、「今年は、省エネ・排出削減により力を入れていく」姿勢を示しました。
温家宝首相は全国人民代表大会の年度会議の開幕式で行った政府活動報告で、省エネ・排出削減を推進する10の効果的なルートを提示しました。それには、遅れた技術の淘汰メカニズムを設立すること、重点企業と重点プロジェクトの建設に力を入れること、省エネ・排出削減の新技術を開発・推進することなどです。その中で、温家宝首相は「省エネ・排出削減は差し迫った問題であるとの認識が必要」との見方を示しました。
「(われわれは)より多くの国民が資源節約型・環境に優しい社会作りに参与するよう導いていかなければならない。エネルギーの節約と環境保護は今後も続けていき、われわれの祖国がよりきれいになるよう努力しなければならない。」
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