中国の温家宝首相は5日、第11期全国人民代表大会第1回会議で「政府活動報告」を行い、「文化体制の改革を深め、文化の発展と繁栄を推進する」ことを活動の重点の一つとして強調しました。これに対し、全国政治協商会議に出席している委員らも関心を示しています。文化は、民族の団結力と創造力の重要な源であり、今後、文化の発展を推進し、民族文化の新たな繁栄を達成すべきだと、委員たちは認識しています。
政治協商会議の委員に新たに選ばれた中国美術館の範迪安館長は、ここ数年、外国との文化交流が盛んに行われており、多くの有名な芸術展が開催され、市民から好評を受けているが、それによって中国が本来持っている豊富な文化遺産を忘れてはいけないと指摘しました。範館長によりますと、中国美術館では、北西部の甘粛省にある歴史遺跡「敦煌」をテーマにした展示会が行われていますが、それを見るため、合わせて30万人が美術館を訪れており、同様の展示の中では、かつてない大盛況になっているということです。
「これは、なかなかいい兆しだと思う。中国の優れた伝統文化が今でも魅力があり、そして市民の美術に対する需要が大きいことがわかった。これまで、伝統文化や芸術についての紹介が足りなかったように思うが、今後、様々な手段によって伝統文化の魅力を展示していきたい」
文化を発展させるには、伝統をしっかりと保護するとともに、新たに開発していくことも必要です。そのためにはまず、知的所有権の保護を強化しなければならないといわれています。中国の映画監督・馮小剛委員は、インターネット上の著作権侵害の取り締まりについて提案しています。
「インターネットでは、映画などの不法なダウンロードサービスを提供するウェブサイトが多くある。今回の会議では、その取締りを強化するため、関連の法律をつくることを求めたい。知的所有権が確保されてはじめて、文化の革新ができると思う」
また、作家の馮驥才委員は、文化の構成はピラミッド型にすべきだと述べています。
「文化を発展させるには、その構成をピラミッド型にすべきだと思う。ピラミッドの頂点に立つのは、代表的な人物である。例えば、イギリスでいえばシェークスピア、中国は魯迅。しかし、その台座となるのは、一般市民だと思う」
実は、そんなピラミッド型の文化で台座となる一般市民の需要に対し、委員たちは関心を寄せています。一般の団地での文化事業の展開や、関連の人材育成などに関する提案が多くありました。今後、政府活動報告で強調されているように、予算を積極的に投入し、全国の文化情報の共有や、テレビ受信の普及などを着実に推進していくべきだと、馮委員は語りました。(翻訳:鵬)
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