ドイツ政府は、1日、「アフガニスタン南部に作戦部隊を派遣してほしいというアメリカの提案を拒否する」ことを明らかにしました。ドイツ政府のこのような態度表明は、アメリカにとっては意外なことで、両国関係に影響を与えないかどうか注目されると、専門家は見ています。
アメリカは、今年、アフガニスタンに配備している臨時増援部隊を撤退する計画です。このため、ゲーツ国防長官は、NATO・北大西洋条約機構の各国に書簡を送り、アフガニスタン南部に派遣する駐留軍を3200人増やすことを求めました。このうち、ドイツに対しては、ヘリコプターや落下傘部隊の派遣を求めました。アメリカの求めに対して、ドイツのユング国防相は、「NATO内部には明確な役割分担がある。ドイツの任務はアフガニスタン北部の担当である」とし、ドイツ軍の駐留範囲が拡大することを明確に拒否しました。さらに、「ドイツ連邦軍は、アフガニスタンに駐留している平和維持部隊の三番目の力になっている上、戦闘機もアフガニスタン南部の偵察に参加している」と述べました。
また、ドイツのシュタインマイヤー外相は、ゲーツ国防長官の求めを拒否したことについて、「ここ数年、ドイツは、アフガニスタン北部でますます多くの軍事や民間の任務を担当するようになり、その復興に貢献していることから、両国関係に影響を及ぼすことはないだろう」とみています。
これについて、専門家は、「メルケル首相が就任してから、イラク戦争で悪化した両国関係は改善されたものの、戦闘の激しいアフガニスタン南部にドイツ軍を派遣する問題では、ドイツ政府は強硬な姿勢を崩していない」と指摘した上で、その原因については、次のように分析しています。
第一に、ドイツ国内では、アフガニスタン駐留問題で争いが続いていることです。緑の党は、最初から駐留地以外の地区で活動することに反対しており、アメリカ政府に譲歩すべきではないと、何回も政府に警告しています。また、態度が厳しい左翼政党は、アフガニスタンに駐留軍を派遣することそのものに反対しています。
つぎに、ドイツ政府は、アフガニスタンの復興プロセスに極めて大きい代償を払っており、国内世論からは大きな圧力が募るばかりです。ドイツ連邦軍がアフガニスタンに駐留し始めてから、数回にわたって襲撃され、数名の国民が連れ去られました。そのうち、人道援助団体所属のドイツ人メンバーが殺害されました。このほか、今駐留している3200人の軍隊が、ドイツの国防予算にとっても、大きな負担になっています。こうした国内の大きな圧力の下で、ドイツ政府は、ここ数年間、何度もアフガニスタンに戦闘部隊を派遣してほしいというアメリカの求めを、明確に拒否してきました。
さらに、去年、ドイツは何回か、テロ攻撃の脅威を受けました。これらの脅威の多くは、「アルカイダ」と関わっていることから、ドイツ社会は不安を感じています。多くのドイツの国民は、ドイツがアフガニスタンの南部地区に作戦部隊を派遣すれば、兵士の死傷者が増える恐れがあると懸念しています。最新のアンケート調査によりますと、ますます多くのドイツの国民がアフガニスタンに駐留軍を派遣することに反対しています。
ドイツがアメリカの求めを拒否したことについて、専門家は、「アメリカは、アフガニスタンのほか、コソボ、イラン核問題などで、引き続きドイツの支持を必要としていることから、両国の同盟関係には、大きな影響は与えないだろう」と見ています。(翻訳 朱丹陽)
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