今日はドイツ政府が2000年から実施してきたナチス時代に強制動員されたユダヤ人らの労働被害者への賠償計画が終了したことについてお伝えします。
今日1月27日は、国連の「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」です。
これを前に、26日午前、ジュネーブの国連本部でIOM・国際移住機関のマッキンレー事務局長は「6年にわたったドイツの賠償計画が終了した」と発表しました。
マッキンレー事務局長は「第2次世界大戦時代、ナチスドイツによって強制動員された奴隷・強制労働者が900万人から1100万人にのぼった。これらの人は強制収容所や軍の工場で過酷な労働をさせられた。戦争が終わった後、これらの人々は世に忘れられ、不公正な待遇を受け、正義は実行されなかった。こうした状況は2000年まで続いた。これを受け、ドイツ政府は奴隷・強制労働被害者への賠償を決定し、財団を設立した」と語りました。
2000年8月、ドイツ政府は「記憶・責任・未来」という財団を設立し、数十億ドルにのぼる基金を設け、国際移住機関などの国際機関・組織と協力して、ナチス時代の被害者からの賠償申請を受付ました。
賠償には強制動員・労働への補償、人体障害、財産損失などの内容が含まれています。
国際移住機関によりますと、8万人以上の生存者が賠償を受け、1人当たりの賠償金額は約7600ユーロに上りました。
また、亡くなった被害者の遺族1万6000人も賠償を受けました。
賠償金額は合わせて25億6000万ユーロにのぼっています。
これについてIOMのマッキンレー事務局長は「ナチス時代強制動員被害者への賠償はそれ以上の重要な意義がる」と評価しました。
マッキンレー事務局長は「賠償は重要であるが、長年にわたって不公正な待遇を受けてきた被害者の労働が承認されたことは最も重要だ」と語りました。
第2次世界大戦が終わって60年も経ちました。生存しているナチスドイツの強制動員労働被害者はオーストラリア、カナダ、アメリカ、東ヨーロッパなど世界各地に分布し、賠償をうけたこれら80代、90代の高齢者たちは感慨無量です。
IOMのマッキンレー事務局長は「ドイツ政府による賠償計画は、『実際の行動で誤りを是正するならば、何時からでも遅くない』ということを国際社会に示した。これは一部の戦後和解と賠償の解決でモデルとなる。(音響の3)世界の一部地域で似通った問題が存在しており、賠償は唯一の解決法ではないが、いかなる方式にせよ、双方の和解と平和の回復にとってプラスであるべきだ」と語りました。
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