最近、国際金融市場の騒ぎがたえまなく起きています。そのうち、フランスのソシエテジェネラル銀行のトレーダージェローム・ケルビエル氏の不正取引による約50億ユーロに上る巨大損失事件が注目されています。ケルビエル氏はパリの警察庁に拘束され、28日には事件の捜査は新たな進展を迎えました。
28日、パリ検察局の検察官は、「ケルビエル氏を拘束し、訊問を続けると共に、詐欺や背任、文書偽造などの罪名でケルビエル氏を起訴した。背任罪の量刑は最高7年間の禁固で、あわせて75万ユーロの罰金が課される」と述べました。この日、事件を担当する検察官は、「取調べでケルビエル氏は2年間にわたって、自己はなにも利益を得ず、いくつかの授権書を偽造し、その行為をごまかそうとしたことが分かった。また、ケルビエル氏は同銀行に同じ不法行為を行っている者がいるといった。しかし、ケルビエル氏の弁護士はケルビエル氏に不正行為はなかったとし、ソシエテジェネラル銀行がサブプライム問題で被った多額の損失から世間の関心をそらすため煙幕を張ろうとしている」と述べました。
しかし、一人のトレーダーが2年間にわたって不法取引を行ってきたにもかかわらず、これまで、発覚しなかったことは非常に不思議だと言えます。それについて、ソシエテジェネラル銀行は27日、詳細な調査報告を発表しました。この報告は次のように述べています。
「ケルビエル氏は銀行のネットシステムに侵入したほか、銀行のその他の部門で仕事をした経験を利用して、他人のコンピューターの口座番号を盗用した」
銀行管理サイトは、「ケルビエル氏は2007年末、欧州の証券市場が下落すると予測し、株を全部売り出した。そして、今年は値を上げると予測したため、多く買い入れた。しかし、株式市場は今年に入って急落し、ケルビエル氏の株主は巨大損失を蒙った。ケルビエル氏は隠ぺい手段を取ったため、管理サイトは18日の夜までにこれを発見した」と述べました。
銀行側はリスク防止システムに欠点があることを認めましたが、この事件による損失は短期間に補われることはないとしました。ソシエテジェネラル銀行は1864年に創設され、世界の77カ国と地区から来た12万人の従業員と2000万に上る口座を擁しており、リスク防止能力が最も高いと評価されていました。
トレーダーの不正取引が暴露された後、パリ証券取引所におけるソシエテジェネラル銀行証券の取引が一時的に停止されました。取引再開後は、株価が6%下落しました。関係者はソシエテジェネラル銀行投資部門の信用が今後大いに失われるだろうと見ています。
このスキャンダルは商業界とフランスの政界をおどるかせました。26日、外国を訪問中のフランスのサルコジ大統領は金融体制改革を呼びかけました。(担当:董)
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