中国の関係部門は29日、2007年の『中国エイズ予防治療合同評価報告』を発表しました。報告によりますと、2007年、中国で新たに発生したエイズ感染者はおよそ5万人で、2005年の7万人と比べ、中国のエイズ感染拡大は緩やかになっています。  

　2007年『中国エイズ予防治療合同評価報告』は、中国衛生省、国連合同エイズ計画、それにWHO・世界保健機関が共同で完成したものです。これは、この三つの機構が2005年以降に行ったこの面における2回目の協力です。報告によりますと、2007年末までに、中国のエイズウィルス感染者はおよそ70万人で、そのうちエイズ患者は8万5000人いるとのことです。

　中国の陳竺衛生相は「現在、中国のエイズの感染状況は全体的に見れば低いが、一部の地域と一部の人たちの間では流行の勢いが強い」と述べました。また、陳竺衛生相は 「わが国のエイズ感染の特徴は4つにまとめられる。第一に、エイズ感染の速度がやや緩やかになっていること。第二に、性行為による感染が主な感染ルートとなっていること。第三に、エイズ感染の地域分布には差が大きいこと。第四に、エイズ感染の要因が広く存在していることだ」と述べました。

　2007年、中国の新たなエイズ感染者は2005年より2万人減りましまた。各観測地点のデータによりますと、エイズ抗体の陽性反応率は毎年上昇していますが、その速度は緩やかになっています。2007年の新たな感染者の中で、性行為による感染者は全体のおよそ57％を占めています。そして、性行為による感染率も年々上昇しています。エイズ感染者の地域分布を見ると、中国各地の状況はそれぞれ大きく異なります。感染者が最も多い5つの省の感染者は全国の感染者の50％以上を占めていますが、最も少ない5つの省の感染者は全国の感染者の1％しかいません。

　2007年の「中国エイズ予防治療合同評価報告」は、2006年から中国がエイズの予防と治療で収めた進展を振り返り、中国政府が進めているエイズの予防と治療に対する取組を高く評価しました。

　2006年以来、中国は『エイズ予防・治療条例』を発表し、エイズの予防治療に法的根拠を与えました。それと共に、中国政府は国際社会との約束を積極的に果たし、各級政府のエイズ対策費を増額しました。全国規模でエイズの総合的な予防措置や宣伝教育活動を強化し、無償による抗ウィルス治療も拡大しています。また、中国の社会団体、民間組織と企業もエイズの予防治療活動に参加しています。

　中国がエイズの予防治療で収めた成果について、国連合同エイズ計画のカーリド・マリク中国駐在代表は「中国政府はエイズの予防と治療を重視して、著しい成果を収めた。国連合同エイズ計画は引き続き中国のエイズ予防治療を支援して、総合的な措置を講じ、予防治療をさらに広げていく」と語りました。

　ところで、報告は、中国がエイズの予防治療で直面している課題も示しました。中国の陳竺衛生相は「報告に示されたこれらの課題と対応策は、今後中国が行うエイズの予防と治療に役立つ」と語りました。