中国の胡錦涛国家主席は14日から18日にかけて、キルギスとカザフスタンでの公式訪問を行い、また、キルギスの首都ビシケクで開かれた上海協力機構首脳会議に出席した後、ロシアでの上海協力機構加盟国による反テロ合同軍事演習に立ち会いましたが、この公式訪問に随行した中国の楊潔チ外相は帰国の途中、記者のインタビューに答え、「今回の訪問は、隣国との協力を強化し、共同の発展を促す訪問であり、深遠な意義がある」と評価しました。

　胡錦涛国家主席は、今年で中国との国交樹立が15周年となるキルギスとカザフスタンを訪問し、それぞれの首脳と会談を行い、政治、安全保障、経済協力と貿易、エネルギーなど分野における交流と協力について合意に達し、中国とこの二ヶ国は一連の関連協定に調印しました。

　これについて楊外相は、「胡主席の訪問は、この二ヶ国との各分野の協力に新しい活力を注いだ。これは中国北西部にとっては重要な隣国といえるこの二ヶ国との伝統的な友情を深め、戦略的パートナーシップの迅速、かつ持続的な発展を促していくだろう」と述べました。

　楊外相は、また、胡主席の訪問は、中国と関連諸国との実務的な協力を強化したとも強調しまています。上海協力機構の首脳会議で、胡主席は、この機構の健全、かつ継続の発展を促すため、上海協力機構の交通、通信、エネルギーなどの分野の多国間、あるいは二国間の協力プロジェクトに融資していき、また、加盟国からの中国への留学生に奨学金を提供するなど中国側の具体案を明らかにしました。

　上海協力機構首脳会議で各国の元首は、去年の首脳会議以来収めた成果を高く評価し、『上海協力機構加盟国善隣友好協力条約』や『ビシケク宣言』など一連の重要文書に調印しています。これによって各加盟国は政治上の相互信頼や善隣友好を強化し、この地域における平和の維持と共同の発展のための政治と法的な基盤を築くことができました。また、安全協力分野において加盟国ははじめての反テロ合同軍事演習を行い、テロリストや分裂主義、過激主義への取締りに必要な結束を強調しています。

　胡錦涛主席は、また、ロシアのプーチン大統領と2度会談を行い、戦略的な安全協力や、重要な国際問題と地域問題について踏み込んだ意見交換を行い、大きな成果を収めました。双方は、各分野での協力を確実、かつ積極的に推し進めていくため、原油輸送パイプの敷設や天然ガスプロジェクト実施のための交渉プロセスの加速、投資協力で優先して実施する分野などを確認し合い、また、中露両国の地方都市間の長期的な協力計画の制定などを話し合っています。さらに、中露両国の戦略的安全対話メカニズムを生かして、テロなどの脅威に対応する上での協力を強化し、両国の戦略的な安全と利益を守ていくことで合意に達しました。これについて楊外相は、「中国とロシアの元首が達した一連の共同認識は両国の協力を促進し、こうして両国の戦略的パートナーシップは新しい段階に入った」と強調しています。

　胡錦涛主席は、ビシケクでの首脳会議期間中に、タジキスタン、ウズベクスタン、モンゴル、イラン、アフガ二スタンの大統領とそれぞれ会談を行いました。楊外相は、このことを取り上げ、「中国が、各加盟国との二国間関係を促したことは、世界や地域の安全と安定、調和の取れた地域の構築にとって重要な意義がある。これは上海協力機構の長期的で健全な、かつ安定した発展にも深遠な影響力を及ぼすだろう」と語っています。