ロシアのプーチン大統領は25日「CFE・『欧州通常戦力条約』が締結された時代にはNATO・北大西洋条約機構とワルシャワ条約機構という2大軍事同盟が同時に存在した。現在、この『欧州通常戦力条約』はすでに実態に即していない」と批判しました。
また、今月14日、プーチン大統領は「欧州通常戦力条約」の履行を凍結する大統領令に署名しました。
これによって、アメリカとNATOに対するロシアの立場が強硬となっています。
プーチン大統領は「東欧諸国のほとんどがNATOに加盟した現在、情勢が根本的に変わった。ロシアにとってCFE条約と関連国際協定の履行停止をせざるを得ない状況だ」と強調しました。
NATOとワルシャワ条約機構による長期交渉の結果、1990年11月に「欧州通常戦力条約」が調印され、1991年4月、ワルシャワ条約機構が解散しました。
そしてこの年の11月、欧州安全保障協力機構(OSCE)が首脳会議を開き、「欧州通常戦力条約」の改定条約を結びました。
ロシアは2004年、「欧州通常戦力条約」の改定条約を批准し、NATO全加盟国はこの条約をいまだ批准していません。
今年に入って、アメリカはロシアの反対を無視してチェコとポーランドでのミサイル防衛配備計画を進め、ロシアの核抑制力低下を狙っています。
これはロシアの安全保障と利益にかかわっており、プーチン大統領は東欧でのミサイル防衛の代わりに、アゼルバイジャンのレーダー施設を利用し、また、チェコとポーランドでのミサイル防衛配備を停止する前提に、NATO・ロシア理事会を通してミサイル防衛の論議に欧州有志国を参加させるよう2回提案しました。
プーチン大統領は「提案が受け入れられれば、アメリカと関係の質的向上が実現し、拒否されれば、両国関係は悪化する」と述べました。
プーチン大統領の提案に対し、アメリカのブッシュ大統領は拒否すると明らかにしていなかったものの、「チェコとポーランドでのミサイル防衛配備は必要不可欠だ」と強調しました。
これを受け、ロシアは「欧州通常戦力条約」問題で強硬な立場を取っています。
国際情勢アナリストは「アメリカが主導するNATOが東方拡大を推進しているため、ロシアは戦略空間が圧縮され、安全保障環境が悪化し、条約履行停止という警告のシグナルをNATOに出した。警告が更に軽視されれば、CFE条約からの離脱を選択する。一方、NATO加盟国がいずれも条件を付けてCFE条約の改定条約を批准しないため、ロシアはこの条約を不平等な束縛であると見なしている。ロシア国内では政治と経済情勢が好転しており、プーチン大統領は広汎な支持を得ており、アメリカやNATOへの反発は当然である」としています。 (ジョウ)
|