明日3月20日はイラク戦争開戦4周年に当たります。
これを受け、中国社会科学院西アジア・アフリカ研究所の殷罡研究員は過去1年間のイラク情勢について見解を発表しました。
アメリカのブッシュ政権が2003年3月20日イラク戦争を開戦して以来、イラクでは衝突と流血が続き、4年になりました。
これまで1年間のイラク情勢について、殷罡研究員は「宗派間の対立が激化し、暴力の応酬は継続している」と見ています。
殷罡研究員は「これまでの1年、イラク情勢は大きく変化した。この大きな変化は宗派間対立の激化である。宗派間対立激化の始まりはアル・カイダによる去年2月のアリカス・モスク爆破事件である。この事件を受け、シーア派の過激派はスンニ派のモスクや居住地に対する報復を開始した。双方は衝突と報復を繰り返している」と語りました。
イラクではこれまで宗派間の対立が継続しているものの、大きな衝突の引き金はなく、シーア派は全体的に冷静を維持しています。
しかし、アリカス・モスクはシーア派の重要な聖地で大きな意義があります。
宗派間衝突の激化を受け、イラク政府とアメリカ軍主導の連合軍は政策を修正し、対応策を取ってきました。
殷罡研究員は「イラク情勢が危険になり、イラク政府とアメリカ主導の連合軍は警戒を強め、対応策を講じた。イラク政府がバース党員や幹部、旧フセイン政権軍将校の排除などの過激な措置を緩和させることによって、アル・カイダや反米勢力への追随は大きく減少した。アメリカは反米勢力と交渉を展開し、ブッシュ政権はイラクへの兵力増派を表明した」と語りました。
去年、イランはイラク情勢への影響拡大を図りました。しかし、これはアメリカとの対立を拡大し、核開発の問題に加えて、アメリカ軍による攻撃の口実となる可能性があり、自国の安全保障へのマイナスを意識して、政策を調整しました。
イラクではアル・カイダの指導者ザルカウィ氏がアメリカ軍の空爆を受け死亡し、フセイン元大統領も処刑されました。
これは一時的に小規模な混乱を誘発し、イラク情勢への実質的な影響は出ていません。
殷罡研究員は「イラク情勢が好転するかどうかは、イラク政府の政策の徹底とイラク軍とアメリカ軍による過激勢力の掃討にかかっている。過激勢力とアル・カイダの主要な戦闘力が壊滅され、国民が宗派間の衝突から目覚め、各宗派の指導者が住民の和解と連携を促進するならば、情勢の好転は可能になる」と語りました。
|