アメリカのブッシュ大統領は10日、テレビ演説を行い、イラクに対する新しい政策を発表しました。イラク国内で暴力活動の拡大に歯止めをかけるのを目的とするこの政策は、イラクへ軍隊を増派し、イラク再建への援助を強化することを主な内容としています。
ブッシュ大統領は、この日の演説で、「イラク治安部隊の活動を援助するため、アメリカは、イラクへさらに2万人を増派する。イラクへさらに2万人派兵することを決定した。主な部分は、5つの戦闘旅団からなっているが、これから、バグダッドへ派遣する。彼らは、イラク軍に編入され、イラク軍兵士とともに戦場へ向かう」と明らかにしました。
新政策によりますと、第1陣の増派部隊は1月末ごろイラク入りする予定です。新政策を実施するため、ブッシュ大統領は来月、議会に年度予算報告を提出し、56億ドルの予算を部隊の増派に、12億ドルをイラク再建に当てることにしています。
また、ブッシュ大統領はこの演説で、イラク戦争におけるアメリカの過ちを初めて認め、責任を取ると明言し、「われわれのバグダッドでの平和維持活動は失敗した。その要因は、イラク人を守れるだけのイラク軍とアメリカ軍が不足していること。そして、軍隊の活動が、多くの政治的要素と宗教的要素に左右されたことも考えられる。われわれの軍事行動はかなり制限された」と述べました。
イラク政局の混乱はアメリカ政府に大きな圧力をかけているため、ブッシュ大統領は、この日、イラク政府に対し、期限内にアメリカが定めた安全、政治、経済面での目標を早く実現させるよう、重ねて促し、「アメリカの承諾には期限があると、マリキ首相やイラクの指導者らに説明した。もし、イラク政府が、その約束を守れなければ、アメリカ国民の信頼と支持を失ってしまうし、イラク国民の支持も得られない」と強調しました。
一方、アメリカ国内では、イラクへのアメリカ軍の増派に反対する声も上がっています。報道によりますと、アメリカ民主党の多くの議員は「この政策によって、アメリカがイラク戦争の渦中にさらに巻き込まれ、抜け出せなくなる恐れがある」としています。この政策について、ブッシュ政権に圧力をかけるため、民主党はこれから、議会で形式的な投票をする予定です。また、国民に対する最新のアンケート調査では、対象者の61%が派兵に反対し、36%が支持するという結果となっています。
専門家によりますと、アメリカの大統領は、三軍の司令官として戦争で指揮権を握っています。議会は、それに干渉することはできませんが、国の予算を支配しています。このため、ブッシュ政権の新政策が、議会と国民の支持を得られるか今のところ明らかではありません。(翻訳:コオリ・ミン)
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