イスラエルの新聞「エルサレムポスト」が23日に報道したところによりますと、イスラエルは、NATO・北大西洋条約機構に加入する戦略的計画を策定しているということです。これは、イスラエルが去年2月に初めてNATOに加入したいとの希望を発表したことにつづいて、NATO入りに近づく重要な動きです。
ここ数年、イスラエルは、テロ取締り、治安維持などの分野で、NATOとの協力を進めています。また、何回にもわたって、NATO加盟国と軍事演習を行いました。NATOからは"地中海の対話国家"と位置づけられています。しかし、イスラエルは"対話国"という地位には満足していません。2005年2月、シャロン首相は、NATOのシェイファー事務局長と会談した後、「イスラエルは、NATOとの関係を対話のレベルから協力のレベルに上げることを望んでいる」と述べた上で、協力プロジェクトについての書類を渡しました。2006年2月、イスラエル国防相は、始めてNATO加盟国国防相非公式会議に出席し、演説をしました。ドイツに駐在するイスラエル大使は、イスラエルが、NATOとの関係を強化し、時が成熟すれば、NATOに加入したいとの意向を語りました。
イスラエルは、なぜこれほどNATO加入を急ぐのでしょうか。国際問題専門家は、次のように分析しています。
ここ最近、中東情勢が日増しに緊迫化する中で、NATOに加入することは、イスラエルが最も恐れるイランからの脅威を防ぐことに役立ちます。イランの核問題における姿勢は依然として、変わっていません。イスラエルがNATOに加入すれば、NATOの共同防衛の規定により、攻撃を受けた際、軍事援助を含むほかの加盟国からの支援を受けられます。
第二に、イスラエルがNATOに加入すれば、NATOの影響力を利用して、中東地域での地位を高めることができます。パレスチナとイスラエルの関係などの問題で、有利な立場に立てるというわけです。去年、イスラエルは、ハマスとヒズボラに対して、それぞれ大規模な軍事行動を起こしましたが、目的を達成することはできませんでした。逆に、パレスチナとイスラエルの和平交渉が行き詰まる状況を招いてしまいました。この状況下で、イスラエル政府は、NATOに加入すれば、NATOを利用して、より多くの国際活動に参加することが出来るとしています。
しかし、現状からみれば、NATOは、イスラエル国防軍の実力、情報収集能力、テロ取締りの経験などを重視していますが、イスラエルを引き受けることについては、NATO加盟国が考えなければならないことがあります。それは、イスラエル周辺の国はほとんどが、イスラエルに敵意を抱いており、ときおり、イスラエルと軍事衝突するということです。このような国を加入させ、その安全に人と物資を提供することは、NATOがよく考慮しなければならない問題です。イスラエルにとっても、今の情勢下で、軍隊の一部をNATOの軍事行動に参加させることは不可能です。これらの要素を考えると、イスラエルがNATOに加入することは決して容易なことではありません。(翻訳:春生)
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