WTO・世界貿易機関は10月26日、アメリカ、EU、カナダの要請に応じ、パネル・紛争処理小委員会を設置し、中国の自動車部品輸入に関する管理規定をめぐる紛争の調査をすると発表しました。
中国は2005年4月から、「完成車に近い自動車部品に対する管理規定」を実施しました。
この規定は、輸入部品のうちは完成車価格の60%以上に達する場合、完成車の税率で課税するとしています。中国の完成車輸入税率は通常28%程度ですが、部品の通常税率は約10%です。
これに対し、アメリカ、EU、カナダは「中国の関税は輸入部品に対する差別扱いでWTOルールに違反した」と見ています。
WTOの紛争処理関連手続きに基づき、今年3月から4月にかけてアメリカ、EU、カナダは中国と自動車部品輸入問題で協議を行いましたが、合意に達しませんでした。
9月15日、アメリカ、EU、カナダはこの紛争を処理する小委員会の設置をWTOに要請しました。
これに対し、中国商務省報道官は遺憾を表明した上で、「中国の自動車部品輸入管理規定は部品と完成車の税率格差を利用して脱税や税関の監督を回避する違法行為を防止し、不法組み立てを取り締まり、消費者の利益を擁護する目的であり、WTOルールに合致する。我々は関係国との協議で紛争解決の誠意を表した」と述べました。
9月28日、アメリカ、EU、カナダはWTOの紛争処理機関にパネルを設置し、中国の部品関税に対する調査を実施するよう要請しました。
これに対し、孫振宇WTO担当大使は「加盟して以来、中国は自動車と部品の貿易に関する条文を含め、WTO条約を真剣に履行している。中国は自動車と部品の輸入関税を大幅に低下させた。完成車と部品の市場参入で中国は貿易パートナーにこれまでにないチャンスを提供した。中国の輸入部品関連規定はWTOルールに違反しない」と述べました。
10月26日、アメリカ、EU、カナダによる2回目の要請でWTOでは中国の自動車部品関税をめぐる紛争で小委員会が設置されました。
この紛争処理小委員会は国籍が異なる3人から5人の専門家で構成され、人選はWTO紛争処理機関と当事国の協議で決められます。
調査結果は6カ月から9カ月のうち公表され、中国は異論があれば上訴できます。
中国の自動車部品市場は190億ドル規模と推定されています。
この大きな市場への参入でアメリカ、EU、カナダは共通した利益をもっており、またEUとアメリカの自動車産業は景気回復を求め、中国への輸出拡大に期待を寄せているため、関連の部品関税規定に不満をもっています。
WTOに加盟して以来、中国は2国間協議を通じて紛争を処理しています。
紛争当事国が2回要請し、紛争処理小委員会が設置され、調査が実施されたことは中国にとって最初となっています。
世論は「貿易額が急速に拡大し、貿易大国になった中国にとっては普通のことである」と見ています。
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