日本中国友好協会(会長 伊藤敬一)は3月14日、日中関係の悪化をもたらす発言を続けている麻生太郎外務大臣に対し、「日中友好に反する度重なる問題発言に抗議する」との抗議文を送付しました。以下がその全文です。
外務大臣 麻生 太郎殿
貴殿は外務大臣就任以来、日中関係の悪化をもたらす発言を続けてきた。
1月28日の名古屋市での講演では、靖国神社参拝問題に関連し「天皇陛下の参拝が一番だ」と述べ、2月4日の福岡市の講演では、日本が植民地支配下の台湾の義務教育に力を入れたと指摘した上で、「台湾はものすごく教育水準が上がって識字率などが向上したおかげで今極めて教育水準が高い国であるゆえに、今の時代に追いつけている」と述べたと報じられている。これらの発言は、かつての侵略と植民地支配に対する日本の責任を曖昧にするものであり、断じて許すことはできない。
さらに貴殿は、昨年末の記者会見で中国の軍事力について「かなり脅威になりつつある」と発言したが、これは1月31日の閣議で決定した答弁書にある「政府として中国を脅威と認識しているわけではない」との日本政府の認識と矛盾している。さらに、3月9日の参院委員会においては、台湾を「国家」「国」と明言した。日本政府は1972年の日中共同声明で台湾を不可分の領土とする中国の立場を「十分理解し、尊重する」としており、この問題が日本と中国が友好関係を発展させる上での大前提であることは、日本政府が一貫して堅持している点である。貴殿の発言は、この「日中共同声明」と日本政府の方針に抵触するものである。
日本と中国の友好関係は、両国のみならず、アジアと世界にとっても重要な役割を担っている。国交回復後で最悪と言われる日中関係の改善は急務の課題であり、その点で外務大臣には重い責任があるにもかかわらず、貴殿の度重なる発言は、日中関係のさらなる悪化をもたらしており、日本の外交をつかさどる外務大臣の資格はないと言わざるを得ない。
侵略戦争の事実と日本政府の責任を明らかにし、日中友好とアジアの平和を発展させるために努力しているわが協会は、あらためて貴殿の発言に抗議し、発言の全面的な撤回を求めるとともに、外務大臣としての責任を明確にし、その任を辞することを求めるものである。
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