フランスを訪問中の中国の温家宝首相は6日、フランスのパリ総合大学で「異なる文明を尊重し、調和の取れた世界を共に建設しよう」をテーマにした講演を行ないました。エンジニアの大学と呼ばれているこの大学の1000人余りの大学生を前に、温家宝首相は歴史と現実の2つの角度から文化多様性の必然性と貴重さを語り、中国の内政と外交状況及び、中国とフランスの文化交流の見通しについて述べました。
温家宝首相はその講演で、まず、人類社会における文化多様性の意義を述べました。
「今日、人類の文明は大きな変革の時期に来ている。科学技術の進歩、経済貿易と文化交流は各種類の異なるそれぞれの文明間の格差を縮小した。中華民族にしても、フランス民族にしても、それぞれが受け継ぎ、そして、ますます盛んになっている文化はその民族の根元であり、国の魂でもある。文化の多様性は人類文明の重要な特徴である。人類社会における文化の多様性は、自然における生物の多様性と同じように客観的に存在している事実だ。文化の多様性を尊重してこそ、初めて、文明を発展させていくことが出来るのだ。」
温家宝首相はまた、中国古代の「和」という伝統的な思想を借りて、異なる文明の共存と発展について、「国家間の平和及人と人との和、そして、自然の調和を実現してこそ、人類文明は初めて発展していく」と述べました。
中華文明について触れた際、温家宝首相は「その発展と継承の基礎となるものは、中華民族自らの強さ、独立心、そして寛大さと改革にある」と強調した上、1970年代以来、中国で推し進めている改革開放政策について重点的に説明しました。「中国の改革は全面的なもので、経済体制を改革すると同時に、政治体制、文化、社会管理体制などの改革を積極的に推し進めている。改革開放を実施するには、億万の人々の積極性と創造性を十分に引き出し、生産力を一層高め、物質、文化に対し、日増しに増える人々の要求を満たさなければならない。そして、社会主義の活力を保ち、世界のあらゆる文明の成果を十分に吸収して、科学的な発展の理念を貫き、調和の取れた社会を建設して、民主制度の健全化、公民による秩序に基づいた政治への参与を拡大すること、法に基づいて国を治める方針を貫き、社会主義の国を建設することだ」と語りました。
温家宝首相はさらに、「貧困から抜け出し、発展を求める中国が自ら平和発展の道を選んだことにより、世界中により大きな機会をもたらした」として「中国は断固として、平和発展の道を歩み、互恵共栄という開放政策を実行していく。世界の有識者は中国の発展が世界にとってのチャンスであり、脅威ではないと見ている。中国の安定した発展は、すなわち世界の平和と繁栄に対する貢献でもある。近代以来、中華民族は列強の侵略の苦難を受け、平和の得がたさを深く実感した。中国が平和発展の道を歩むことは中国の歴史、文化、伝統及び、現実的な利益を求めることからくる必然的な選択で、これからも長期にわたって変わらないものだ」と述べました。
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