イタリア軍当局が13日明らかにしたところによりますと、イラク駐留イタリア軍はイラクからの撤兵をくりあげ、第1陣130人の兵士が近いうちにイラクから撤退し、帰国することになりました。この前倒し撤兵は完全に補給や財政上の面から考慮されたもので、政治とは関係しないとのことです。しかし、アナリストはイタリアはこのところ現れている国内の財政危機及び、アメリカとのテロ取締り協力における情熱が弱まったことに伴って、撤兵の前倒しを実施したのであり、それは決して意外とはいえないものだと分析しています。
イタリア政府の元の計画に基づけば、9月から300人の兵士を撤退することになっていました。現在、イラクに3000人のイタリア駐留軍がいますが、主に、イラクの南部地区に駐屯しています。
アナリストは、イタリアの早期撤兵には次のいくつかの原因があると見ています。
まず、イタリアのテロ取締りや安全保障に使う財政面の支出がすでに政府の重い負担となっっているからです。7月7日、ロンドン同時多発テロ事件以来、多くのテロ組織はそれぞれ、イタリア威嚇をしており、できるだけ早くイラクから撤兵するよう、イタリア政府に要求しています。テロ襲撃事件を防止するため、イタリア政府は全国の1万3000ヵ所の重要地区の治安活動を強化しました。
しかし、イタリアを訪れる海外観光客が多いため、その治安活動はより難しくなっています。このほか、多くの地区の治安設備はすでに老旧化し、政府はその設備の更新に数十億ユーロの経費を増加しなければなりません。これだけではなく、来年の2月のトリノでの冬季オリンピック開催を保障するため、イタリア政府は、1000万ユーロの安全予算を増加しました。それら予想外に増えてきたテロ取締りの費用はイタリア政府の財政赤字を継続的に増やしています。
また、まもなく行なわれる2006年の総選挙に向けて、政府はその注意力を国内の経済成長に移行させました。ユーロの切り上げ及び国際原油価格の高騰などの要因で、イタリアの2005年第1四半期の経済発展に後退現象が表れ、GNP ・国民総生産は約0.5%下がりました。現在、イタリア政府の財政赤字のレベルは高いままです。こうした状況の下で、野党の中道左派連合にしても、或いは与党の中道の右派連合にしても、経済問題の解決を2006年総選挙の勝利を勝ち取るカギと見なしています。
更に、イタリアとアメリカ両国の情報機関の間での絶え間ない摩擦はテロ取締りの協力に暗い影を落としました。今年3月、1人のイタリア情報機関の工作員がイラクの人質事件から解放されたばかりのイタリア女性記者を保護して、バグダッド空港へ行く途中でアメリカ軍に射撃されて死亡しました。この事件はイタリア国内で、強い反響を引き起こしました。その後の共同調査で、アメリカ側はその責任を逃れるとし、それに対し、イタリア側は非常に不満を覚えています。
アナリストは「スペイン、オランダ、ポルトガル、ポーランドなどの欧州連合の加盟国が相次いで、イラクから撤兵した後、これまで、一貫にアメリカ寄りの政策を取ってきたイタリアも、撤兵の開始を決定した。アメリカはイラクでより苦しい孤立した境遇に陥るだろう」と見ています。
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