エジプト大統領府のアワッドスポークスマンは３日、カイロで「ムバラク大統領は、イラク駐在エジプトの首席外交官イハブ・アルシェリフ氏が拉致されたことに特に注目している。ムバラク大統領は、この事件についてイラク方面と密接な連絡を保ち、事件の進展を随時通報することをケータイ外相に指示した。」と明らかにしました。

　エジプト政府はイラク政府及び各関係方面と連絡を取った後、３日、声明を発表し、アルシェリフ氏が２日の夜バグダッド西部で拉致されたことを確認しました。

　リビアの沿海都市シルテで開かれるAU ・アフリカ連合首脳会議に出席する準備のケータイ外相はテレビ記者のインタビューを受けた際「エジプトとイラク両国政府は密接な話し合いを行い、アルシェリフ氏を救出することに全力をあげるつもりだ。エジプトはアルシェリフ氏をイラク駐在最高外交官として、イラクに派遣することは両国人民の福祉のためのものだ、エジプトは現在イラク人民の直面している困難をよく理解している。アルシェリフ氏は外交官として、その過去と現在の活動はイラク人民とアラブ民族に有利なものだ。」と述べ、更に、アルシェリフ氏を虐待しないで、出来るだけ早く釈放するよう拉致者に求めました。エジプトとイラクの関係は１９９０年に、エジプトがイラク軍のクウェート侵攻を非難したことによって、中断されました。フセイン政権崩壊後、イラク再建プロセス推進に伴い、エジプトを含む一部のアラブ国家はイラク駐在外交使節を派遣するようになりました。アルシェリフ氏は去年６月１日、イラクへ赴いた後、エジプト政府はイラク駐在エジプトの外交機関を大使官級に格上げする予定でしたが、アルシェリフ氏を大使に任命するかどうかを明らかにしませんでした。

　アルシェリフ氏はイラク戦争勃発以来、イラクで拉致された初の大使級外交官であり、イラクで拉致された２人目のエジプト外交官です。2004年6月23日、エジプトのクトブ外交官はイラクで武装勢力に拉致されました。それより前、エジプト政府はイラクの警察と治安要員の訓練援助を確約したので、拉致者はエジプトがイラクに軍隊を配属することと認めたため、クトブ氏を拉致したのです。エジプト政府がイラクへ派兵しないと重ねて表明した3日後、クトブ氏を釈放しました。

　分析者は「この２つの拉致事件は一般の身代金を狙ったものと違って、武装勢力は拉致の矛先を外交官、特にアラブ諸国及び、地域の情勢に重要な影響力のある外交官に向いたのだ。それが著しい政治的な目的がある。武装勢力はイラクにある外国の政治活動への打撃を通じて、外国が参加し、アメリカの主導によるイラクの政治再建のプロセスを阻止し、イラクの移行政府を孤立な状態に陥らせようとしている」と見ています。