<日本語題> きれいなおかあさん
<英語題> beautiful mother
【キャスト】
鞏俐(コン・リー)
中国を代表する国際派女優で、日本でも作品が多く公開され、おなじみの中国人女優の一人です。1987年、チャン・イーモウ監督に見出されて「紅いコーリャン」でデビューして以来、今や国際的なスターへとステップアップしているような気がしてなりません。最近は香港の話題作に出演したり、ハリウッド進出を果たしたり、若手女優にはかなわない貫禄が出てきました。そして、今年は、再び張芸謀(チャン・イーモウ)監督の作品に出演するとあって、話題となっています。このふたりがタッグを組むのは1995年の「上海ルージュ」以来ということで、実に10数年ぶりのチャン・イーモウ作品復活です。
誕生日:1965年12月31日
身長:168cm
体重:56kg
出身地:山東省
出身校:中央戯劇学院
【主な出演作品】
1988年 『紅高粱(紅いコーリャン)』(デビュー作)
『一代妖后(続・西太后 暴虐の美貌)』
1989年 『代号"美洲豹"(ハイジャック/台湾海峡緊急指令)』(チャン・イーモウ監督作品)
1990年 『菊豆』(チャン・イーモウ監督作品)
『古今大戦秦俑情(テラコッタ・ウォリア)』
1991年 『大紅燈籠高高掛(紅夢)』(チャン・イーモウ監督作品)
1992年 『秋菊打官司(秋菊の物語)』(チャン・イーモウ監督作品)
1993年 『活着(活きる)』(チャン・イーモウ監督作品)
『覇王別姫(さらばわが愛)』(チェン・カイコー監督作品)
1994年『揺阿揺,揺到外婆橋(上海ルージュ)』(チャン・イーモウ監督作品)
『西楚覇王(項羽と劉邦)』
『天龍八部』(香港)
1996年 『風月(花の影)』
1999年 『画魂 愛、いつまでも』
『漂亮媽媽(きれいなおかあさん)』
2003年 『周漁的火車(たまゆらの女)』
2004年 『2046』
2005年 『愛神(愛の神、エロス)』
『SAYURI』(アメリカ)
【スタッフ】
孫周(スン・ジョウ)監督
1954年生まれ、北京電影学院卒。
もともとカメラマン出身で、90年代にはCMディレクターをしていた経歴ももっています。
【主な監督作品】
1987年『給珈琲加点糖(仮題:コーヒーに砂糖)』
1991年『心香(心の香り)』
1999年『漂亮媽媽(きれいなおかあさん)』
2003年『周漁的火車(たまゆらの女)』
【ストーリー】
舞台は北京、孫麗英という女性が主人公です。孫麗英はごく普通の庶民で、工場勤めをしています。しかし、息子の鄭大は生まれつき耳が不自由です。それが原因で、夫は彼女と離婚し、家庭は崩壊しそうになります。でも、彼女は、息子が学校に通えるように、家事と仕事の両立に奔走します。息子は耳が聞こえないので、言葉の発音がうまくできないのですが、孫麗英は一生懸命言葉を教えようとしました。
しかし、耳が聞こえないということで、息子はいじめの的になってしまいます。ある日、いじめっ子達とけんかになり、息子にとって唯一頼りになる補聴器が壊されてしまいます。補聴器は、5000元(日本円で70000円)以上もするので、壊れたからといって、すぐに買い換えられるものでもなくて、孫麗英はパニックに陥りました。孫麗英は、仕方なく、元夫の助けを求めようとしますが、この元夫が事故で死んでしまいます。彼女はさらに窮地に追い詰められていきます。
【レビュー】
コン・リーというと、チャン・イーモウ監督作品に出ている女優さんというイメージがかなり強くて、時代劇のお姫様役とか、気が強い農民の女性とか、少しアクの強い役柄が多かったように思います。でも、この作品では、現代中国に生きるごく普通の「お母さん」を演じていて、今までになかった役どころだなと感じました。コン・リーにとっては新境地を開くことになった作品かもしれません。しかも、なかなかの感動作だったから、公開当時は非常に話題となりました。どんな状況でも子供を守ろうとするおかあさんの姿が人々の胸を打ちます。コン・リーの力強い演技で、物語が少しも暗くなりませんし、そのお母さんが厳しい状況をどのように乗り切っていくのかが映画の見所にもなりました。母の愛っていうのは、世界共通、非常に共感できる作品だと思います。
ちなみに、この作品は、アカデミー賞外国映画賞に選ばれたほか、第24回モントリオール世界映画祭最優秀主演女優賞、中国百花賞・金鶏賞最優秀主演女優賞を見事獲得しています。
(編集:コオリ・ミン)
|