56の民族が住む中国では、各民族の音楽が互いに影響しあい、新しい魅力的な音楽を生み出すことがあります。今年58才になるモンゴル族出身の女性歌手・デデマさんは、40年来、多くの民謡を世に送り出してきました。また、国内外の舞台で幅広く活躍しており、人々から「草原の鶯」と讃えられています。1998年、デデマさんはステージで、突然、脳溢血を起こし闘病生活を送っていましたが、1年後、デデマさんは病魔を克服し、奇跡的に舞台へ復帰しました。今日の中国民族音楽の時間は民謡歌手・デデマさんと彼女の作品をご紹介いたしましょう。
いまや、中国では誰もが知っている民謡歌手になったデデマさんですが、彼女が唄った歌、なかでも「美しい草原、我が家」という歌は、私のように70年代に生まれた人間にとっては、なんだか、とても懐かしい感じがします。
では、まずはこの「美麗草原我的家(美しい草原、我が家)」という歌をお送りしましょう。これはモーコ族の人々が故郷を称える内容の歌です。
美麗草原我的家
お聞きいただいたのは有名なモンゴル族民謡歌手・デデマさんが歌った「美麗草原我的家(美しい草原、我が家)」でした。この歌は1970年代に創作されて以来、多くの人々に愛唱され続けています。
デデマさんは、広々とした蒙古草原で牧畜を営む家庭に生まれ育ちました。両親はいずれも地元で有名な歌手で、デデマさんも幼い時から優れた音楽の才能を発揮していました。17才の時に、デデマさんは中国音楽学院に入学し、本格的に音楽を学び始めました。卒業した後、中国の有名な芸術団体・中央民族歌舞団に入り、北京の舞台で活躍し始めます。当時を振り返り、デデマさんは次のように話しています。「多くの音楽家が集まる中央民族歌舞団に入れたことは私にとって本当に幸せなことでした。(音響1)
「中央民族歌舞団には少数民族出身の音楽家が集まっているので、みんなが私の先生で、多くの学習のチャンスを与えてくれました。私の今の成功は、彼らのおかげなんです」
デデマさんは現代的な発声法と伝統的な歌唱法を融合させ、独特な歌唱法を生み出しました。次にお送りしますのはモンゴル族のラブソング「達那巴拉(ダナバラ)」です。この歌は若い女性が好きな人を思い恋焦がれる気持ちを表現しています。
達那巴拉
中国民族音楽、この番組は北京のスタジオから黄競がお送りしています。お聞きいただいたのはデデマさんの歌で、蒙古族のラブソング「達那巴拉(ダナバラ)」でした。
全てが順調であった1998年、日本でステージ出演していたデデマさんは、突然、脳溢血を起こして病院に運ばれました。彼女を襲ったのは、言語障害。当時をデデマさんは次のように振り返っています(音響2)
「当時、私は毎日、言葉を取り戻すためのリハビリを続けていました。苦しかったけれど、立ち止まったら終わりだと思いました。私にとって立ち止まることは、死を意味していました。私は死にたくないから、ただ前に歩まざるを得ませんでした」
一年間にわたる苦しい闘病生活を経て、デデマさんは奇跡的に病魔を克服し、舞台へ復帰したのです。
ではつづいてお送りしますのは蒙古族の民謡「達古拉(ダグラ)」です。ダグラは女性の名前です。この曲の主人公が気心の知れた友人・ダグラとの深い友情を語っている、という内容の作品です。
達古拉
お聞きいただいたのはデデマさんが歌った蒙古族の民謡「達古拉(ダグラ)」でした。
今日の中国民族音楽は1970年代から中国民族音楽の舞台で活躍しているモンゴル族の歌手・デデマさんと彼女の歌を紹介しました。
2002年、デデマさんは内蒙古自治区で芸術学校を創設し、故郷の才能ある子供たちが音楽を学べる場を提供しています。デデマさんは、次のように決意を述べています。
「私はすでに年を取ってしまいました。だから今後は、若手の教育に力を入れたいと思っているんです」
最後にデデマさんがうたった「遼?的草原(広々とした草原)」を聞きながらをお別れしましょう。それでは来週まで、ごきげんよう。
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