北京の街を歩いていると、お茶の店が多いことに気づくでしょう。お茶の店はここ数年、いつの間にか増えた感じがします。大抵のお店で試飲ができ、さらにプーアル茶の専門店なら、「功夫茶」という茶道をゆっくり楽しむこともできます。
「功夫茶」とは、お茶の名称ではなく、茶道の一種です。「功夫」は、「時間」や「手間」という意味の中国語で、「功夫茶」は、「時間と手間を掛けて飲むお茶」という意味になります。「功夫茶」に使われる急須や茶碗は大変小さいです。茶碗は卵の半分の大きさしかありません。そのため、何回も何回も淹れなければならず、その動作を繰り返す中で、心が静まってきます。
日本の茶道と最も異なるのは雰囲気ではないでしょうか。「功夫茶」では、淹れる人と飲む人が、茶具が置かれたテーブルを囲んで、常に会話を楽しんでいます。茶葉や茶器のうんちくから世間話まで、話のネタは様々。また「功夫茶」には遊び心がいっぱいです。「茶寵」という動物などを型取った陶器が台の上に置かれていて、茶具を洗ったお茶または飲み残したお茶をこれにかけたりします。特殊な陶器なので、お茶が浸みこむにつれて、徐々に光沢が出てくるということです。典型的な「茶寵」は蛙ですが、そのほかに犬や猫、さらには「お茶の神様」とされる人物などいろいろあります。
お茶の店のほかに、「喫茶店」も増えてきました。これは日本でいう「喫茶店」ではなく、文字通りお茶を飲むところです。こちら中国では、コーヒーはまだまだ普及しておらず、お茶の愛好者のほうがはるかに多いです。「喫茶店」は当然古くからあったものですが、時代の流れで一時期姿を消していました。しかしここ20年の間、外出先でゆっくりとお茶を飲む心の余裕ができたからでしょうか、洒落た「喫茶店」が北京の至るところにオープンして、人々の憩いの場となっています。(文:閣)
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