中国西南部の雲南省に、楼家山村という村があります。ここの村は普通の村と違い、村の家々の外側の壁に沢山の絵が描かれています。これらの絵には、山水画のほか、忙しい野良仕事の風景や村人が歌ったり踊ったりするシーンが描かれています。ここは田舎のギャラリーという愛称を得ています。
そもそも何故、建物の壁に絵が描かれているでしょう。
この疑問を抱えて、わが放送局の記者が村人の女性に聞きました。
記者:「こんにちは、おたくの壁にもこういうきれいな絵が描かれていますか。」
村人:「はい、いっぱい描いてもらいました。綺麗だから。」
記者:「どなたに描いてもらったのですか。」
村人:「村人なら誰でも知っていますよ。タク・ショウシュウさんです。」
タクさんは40代で、中肉中背、見るからに絵が上手そうです。タクさんは幼い頃から、美術の先生になることを願っていました。1985年に高校を卒業した後、彼女は念願の美術の先生になりました。その後、彼女は生涯教育で中国画のコースを習得し、短大の中国画学科を卒業しました。
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当時の農村には、大卒の人どころか、高校を卒業した人も少なかったことから、タクさんのような大卒の女性は珍しい存在でした。1987年に、村の事務職のポストに付いてから、タクさんは20年間働いてきました。
2005年に、村の改修工事が行われ、すべての道路が新たに舗装され、建物の壁もすべて白い色に塗装されました。タクさんは、家々の白い壁を眼にして、「書道や漫画など村人が好きそうなものを壁に描いたらどうだろう」と思いつきました。彼女の考えは村人から支持を得ました。2005年9月に、タクさんは壁に絵を書き始めました。一ヶ月の間に、彼女は30枚以上の絵を描きました。
当時のことについて、タクさんは次のように紹介してくれました。
「毎朝7時から絵を描き始め、お昼は村人の家で食事を済ませて、夕方まで描き続けました。毎日くたくたになりましたが、やりがいがあったと思っています」
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村人たちはタクさんのことを働き蜂に譬えています。その後、タクさんを自分の家に誘い、壁に絵を描いてもらう村人がどんどん増えてきました。しかし、タクさん一人の力には限りがあります。村の小学校の教諭や村を定年退職した人、タクさんの弟さんなどが手伝いに来ました。みんなは力を合わせて、4ヶ月間ですべての壁に絵を描き、およそ300枚の絵を完成させました。、
村人には字が読めない人が多いので、タクさんたちは、野良仕事の関連知識、法律や政策など分かりにくい内容を生き生きとした漫画の形にしました。村人は絵を見れば、すぐその意味がわかります。
これらの絵のことについて、村人の趙大宝さんは次のように語りました。
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「かつて都市部の人たちの生活が羨ましかったのですが、いまは全然そう思いません。壁に描かれた絵を見れば、気持ちがよくなります。けんかやいさかいをする人もいなくなりました。」
陳立さんは、かつてこの村で暮らしたことがありますが、田舎ギャラリーのことを聞いて、わざわざこれらの絵を見学にきました。
「楼家山村の村づくりはなかなかすばらしいと聞きました。40年ぶりに故郷を訪れましたが、こんなに変わるとはとは思いませんでした。昔はすべてわらぶきの家でしたが、今はレンガ造りばかりです。もっと驚いたことは、紙に描かれたものしか見たことのない絵が家々の壁に描かれていることです。字が読めなくても、絵を見るとその意味がちゃんと分かりました。」
ほかの村も楼家山村のことを聞いて、タクさんに絵を描いてもらいたいと誘いに来ました。タクさんは近いうちに書画協会を設立し、現地と周辺地域の子供たちに書画協会の教室で絵の勉強をしてもらうことにしています。やがては雲南省のいくつかの村が、建物に描かれた絵で多くの人を呼ぶようになるかもしれません。(編集:姜平)
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