宋慶齢少年児童発明賞は宋慶齢基金会が設けた数多くの賞の一つで、これまで約10万人の子供がこの活動に参加し、数千人が賞を受けています。宋慶齢少年児童発明賞組織委員会の芦山副主任の紹介によりますと、この活動を行う目的は、子供たちに、学校教育のほかに実生活の経験を身に着けるチャンスを与えることにあるということです。芦山副主任はさらに次のように語ってくれました。
「この活動を通じて、子供たちが新しいことに挑戦する精神を養い、実生活の能力を高めることを狙っている。国は前に向かって発展しなければならない。国が発展するには、科学技術が不可欠である。科学技術を生かし、発展させるのは人材である。人材の養成は子供の時から力を入れなければならない。こういう考えで、この活動を今まで行ってきた。」
ところで、中国の都市部では、多くの家庭は一人っ子しかいません。都市部の子供は両親に可愛がられて、独立して生活する能力が弱くなったことから、宋慶齢基金会は「夏のキャンプ」を催して、都市部の子供たちが独立して生活する能力の向上を目指しています。
中国の学校などで行われている普通の「夏のキャンプ」と違って、宋慶齢基金会の主催による「夏のキャンプ」は「探検」をテーマにして、場所も都市部から離れた内蒙古の草原にしています。キャンプに参加した子供たちは毎日野宿するための10数キロの荷物を背負って10キロ以上歩きます。子供たちは毎日自分でご飯を作らなければならないし、飲用水も配給されています。これは豊かな生活を過ごしている都市部の子供たちにとって、なかなか大きなチャレンジです。
雲宗君と雲貝君は北京からきた双子で、今年11歳です。去年、二人は宋慶齢基金会の主催による「夏のキャンプ」に参加しました。キャンプから家に戻った時、二人は日焼けして、足にはまめがいっぱい出来ていました。しかし、二人は夏のキャンプでの生活経験を嬉しく思っています。
雲宗君は次のように思い出をはなしています。
「夏のキャンプで、これまで体験したことのないことを経験した。僕たちはこれに参加するまで、自分の服を一回も洗濯したことがないし、ご飯を作ったこともなかった。今考え直すと、僕たちは自分のことは自分でするべきだと思う。この夏のキャンプで僕たちの生きる力が育ったから、とてもためになった」
都市部の子供たちのほか、宋慶齢基金会は経済が発達していない農村部の子供たちの成長にも関心を寄せています。中国の西部地区では医療衛生の体制整備が立ち遅れています。基金会は「中国西部における婦人と幼児の健康生活の計画」を立てて、辺鄙な農村部の婦人と幼児に医薬品を送り、医者からなる診療チームを派遣したりしています。当基金会はまた寧夏、重慶などで「西部地区の教師を対象とした研修計画」を立てて、貧しい農村部の小学校の教師たちが生涯教育などを受けられるようにして、農村部の教師陣の実力増強に力を入れています。
現在、中国の都市部で働く農村部から来た出稼ぎ労働者はいったいどれぐらいるでしょう。だれも分からないと思います。これらの出稼ぎ労働者には、子供を一緒に都市部へ連れてくる親が結構多いです。これら家を離れた所で生活する子供たちにも、宋慶齢基金会は目を向けています。基金会は、北京の宋慶齢児童科学技術館の中に、出稼ぎ労働者の子供たちに向けた科学普及の基地を設けており、これらの子供たちがより多くの科学知識を身に付けられるよう工夫しています。
6月1日の世界児童デーに、基金会は出稼ぎ労働者の子供たちが参加するソーラーカーの模型によるカーレースを催しました。このカーレースに参加した劉容さんは安徽省出身で、2年前に出稼ぎの両親と一緒に北京へ来ました。劉容さんはこのイベントに初めて参加したもので、大喜びでした。
「今回のイベントに参加して楽しかった。これまで見たことのないことを体験できた。教科書に載っていないものでも、これぐらい楽しめるなんて想像もつかなった。これから、このような活動にどんどん参加したい」
宋慶齢基金会は、子供のために、このような活動を頻繁に催していますが、基金会の李寧秘書長は今後の活動について次のように紹介してくれました。
「農村部には、両親が出稼ぎに出ている子供が大勢いる。これらの地区は、経済が立ち遅れているので、医師と医薬品が不足している。それに、医療サービスなど整っていない所が多い。どうやって多くの難問を解決していくか、これから考慮しなければならないことであり、力を入れていく必要のあることでもある」
(編集:姜平) 1 2
|