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母なる河を護ろう
   2006-11-24 14:47:28    cri

   

 中国の黄河は、中華文明を育ててきた「母なる川」です。しかし、近年、沿岸には、工場が次々と建設され、地元経済を豊かにする一方で、川の水質汚染が進んでいます。汚染対策が経済の発展に追いつかないというのが現状です。

 1999年、中国で「母なる川を守ろう」という環境保護キャンペーンが始まりました。これには大勢の若者がボランティアで参加しています。彼らの活動は去年、その環境保護への取り組みを評価され、国連から「チャンピオンズ・オブ・ザ・アース」という賞を受賞しました。

 「母なる川を護ろう」キャンペーンは、中国の若者たちによる組織、中国共産主義青年団と、中国環境保護総局が共同で始めたもので、黄河と、中国で最も長い川、長江など大河流域の環境保護を目指しています。

 責任者の賀軍科さんに、このキャンペーンの活動について、お話を伺いました。

   

 「この活動が始まって7年経ちますが、これまで、のべ3億5千万人のボランティアが参加しています。また、国内外から3億8千万元の寄付金が寄せられていて、2000ヵ所、28万ヘクタールに及ぶ森林を作りました。これにより、川の流域での生態環境改善を図っています。」

 28歳の馬秀坪さんは、ここのボランティアの一人です。彼女のふるさと、青海省大通県は、黄河の上流にあります。地元では、近年、製紙工場や製鉄工場などが操業を始めました。一部の工場は、廃水を処理せず放出して、黄河の支流、北川河の水を汚染しました。

 馬さんは大通県環境監視所に勤めています。地域の環境汚染を監視することが、彼女の仕事です。馬さんの話です。

 「私たちは、工場が排出する汚水の状況や、北川河の汚染状況を毎日、監視しています。どこかの企業が規定量を超える汚染物を排出していれば、直ちに急行して、それをやめさせます。」

 馬さんたちの環境監視所の働きにより、10ヶ所以上の"問題ある"工場が閉鎖、または移転させられています。しかし、馬さんは、まだ現状には満足していません。彼女は、地元の若者からなるボランティア・グループを作り、募金を得て、植樹をしたり、環境保護に関するスピーチ・コンクールや書道大会などのイベントを行なったりしています。

 馬さんは、黄河の水に対する思いをこう語ります。

 「黄河を護ることは、単に故郷を大切にしたいためだけではありません。これはまた、地球を護ることでもあるんです。黄河の水を汚さないことは、非常に重要な意義を持っていて、地球全体にとってもいいことだということをみんなに知ってもらいたいのです。」

 馬さんが組織したボランティアの活動は地元で大きな反響を呼んでいます。環境保護の大切さを認める人々は増えつつあり、黄河の水を守ろうという動きは、段々と盛んになっています。

 内蒙古自治区の磴口県は黄河の中流に位置します。ここでも黄河の生態環境を守ろうという若者のグループが活躍しています。この県を流れる黄河の長さは50キロほどです。流域は、砂漠化が進んでいるところばかりで、毎年およそ7000万トンの砂が黄河に流出します。大量の土砂が河底に沈み、その量は年々増えますから、いまでは、河が陸地より高くなる、いわゆる『天井川』となりました。いったん堤防が決壊すると、洪水の被害が甚大なものとなります。ですから、黄河への砂の流出を防ぐ、つまり、沿岸の砂漠化を抑えることが、差し迫った課題となっているのです。

 この町のボランティア・グループのリーダーは、今年30歳の高勇さんです。高さんは、生態環境の保護にもっと多くの若者に加わってもらうことが、ライフワークだといいます。高さんを始めとする地元の若者は、黄河の生態を監視する場所を設けて、黄河の水質や土砂の量を一年中監視しています。そして、毎年春には、砂漠化を食い止めるため、沿岸に樹木を植えています。また、砂漠の開発もしています。高さんの話です。

 「みんなと一緒に、砂漠の一角を請け負いました。生態環境を整備するかたわら、サトウキビやクキなどを栽培して、少し利益も挙がっています。何とか黄河を砂漠から守りたいと思います。」

 今のところ、砂漠化がいくらか抑制されると同時に、砂漠開発により、利益も上がっているということです。

 黄河の沿岸に住む人々は自らの特技を生かして、黄河の保護に取り組んでいます。黄河中流の河南省に住む葉欄さんは書道や写真が得意です。葉さんが、書道で、「母なる河を共に守り、豊かな自然を大事にしよう」という言葉を書きました。また、黄河沿岸の砂漠化の実情や、木をむやみに伐採する様子をカメラに収めて、子供たちに見せ、注意を呼びかけています。

 「こうした取り組みを通じて、みなさんに生態系や環境を保護することの大切さを知ってもらいたいです」

 葉さんは定職を持たない、いわばフリーターで、収入はそれほど高くありませんが、自らお金を出して、木の種を買い求め、黄河の沿岸に植えて、0.2ヘクタールほどの林を作りました。葉さんの大部分の時間は、小中学校で環境保護の呼びかけをして回っているそうです。

 葉さんは先日、環境保護のPRのため、ある村を訪れたとき、多くの村人が汚染された水を飲んで癌にかかったことを知りました。これに大きなショックを受けた葉さんは、多くの人々にこの事実を伝えて、河の生態環境を保護する大切さを知ってもらいたいという気持ちを新たにしました。

 「私のインターネットの自分のブログに、いつも見たことや聞いたことを書いて執筆していますが、今年はそれを本にまとめて、出版しようと思っています。生態保護の重要性をもっと多くに人々に理解してもらいたいです」

 黄河の保護には、多くの大学生が加わっています。黄河の河口にある山東省のある大学では学生たちが環境保護協会を作りました。使い終わった電池を収集したり、ゴミを集めたり、環境保護の調査を行なったり、関連知識の宣伝をしたりしています。会長の符琴さんです。

 「私たちにはできることは限られていますが、呼びかけなど小さいことはできます。できることから、コツコツとやり始めて、黄河を守るという大きな事業に寄与したいと思います。」

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