中国中部に位置しており、中国の南北を貫く重要な鉄道「北京・広州鉄道」が走っています。また広い西部地区と東部の沿海地域を結ぶ隴海鉄道も通っており、東西南北を結ぶ交通の要所です。ですから、河南省は古くから「中原」と呼ばれ、多くの王朝がこの場所を得ようと、戦いを繰り広げてきました。中国語で、「中原の鹿を射止める」という言葉がありますが、これは、「みんなが争って手に入れようとするものを手にする」という意味です。それくらい、河南省は古くから、大切な存在であったのです。
歴史上、初めて世襲制をしいた王朝、「夏朝」が今の河南省にあたる地域に都を置いてから、中国最後の封建王朝「清朝」が倒されるまでの4000年間、河南省は全国の政治、経済、文化の中心となっていました。そのため、河南省からは多くの国家有用な人物、有名人が生まれたほか、歴史上、重要な文化財が全国でもっとも多く、唐の都西安にも劣りません。中でも古都・洛陽の「竜門の石窟」はユネスコ指定の世界遺産に登録されています。
また、武術で有名な「少林寺」もあります。少林寺は世界でも良く知られていて、ロシアのプーチン大統領は中国を訪問した際に、わざわざ、ここのお寺を訪れました。
河南省の「河」は、中国の「母なる大河」黄河のことです。河南省を流れる川は1500本と数が多く、特に省内を流れる黄河の主流部分は711キロあります。これらの川のおかげで、河南省は水に恵まれ、古くから農業が盛んでした。今でも河南省は全国で最も耕地面積が広く、降雨や気温が作物の生産に適していることから、小麦、とうもろこし、綿花などの重要な産地となっています。
河南省の人口は約9600万人。全国でも人口の多い省の一つです。ただ、経済不均衡の問題は、この豊かな河南省も例外ではありません。農村の村々の中には、経済的に非常に進んでいる地域と、立ち遅れている地域があります。ただ、そんな立ち遅れた地域でも、将来の豊かな暮らしを目指して、様々な取り組みが行われています。
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