青海チベット鉄道、高いところで標高5000m以上、世界一高いところにある鉄道。北京から、乗り換えなしで、チベットまでいける魅力的な鉄道です。
北京西駅からラサまでの鉄道の旅は全長4000キロ余りです。発車時刻は午後9時半で、三日後の夜9時ごろ、ラサに到着します。また、朝発車し、朝到着の汽車も走っています。ただ、夜着く方の汽車は、美しい青海チベット高原を通るのが昼間となりますので、こちらがお勧めです。
青海チベット鉄道とは、具体的には青海省の中心地・西寧、西に丁寧の寧と書く、西寧から、チベット自治区の中心地・ラサまでを指します。全長はおよそ2000キロです。平均海抜が4000メートル以上。一番高いところは5072メートルです。
鉄道の敷設は二つの段階に分けてしました。西寧から青海省のゴルムまでの814キロは1984年に開通しました。そして、ゴルムからラサの区間が、もっとも工事が困難で、相当長い時間がかかりました。事前の調査作業が数回行なわれて、工事が始まったのが2001年になってからです。そしておよそ6年掛けて、ようやく出来上がったのです。
崑崙山やタングラ山などという非常に標高の高い山もあり、工事は困難極めたものでした。標高5068メートルのタングラ駅は、この鉄道の旅の目玉の一つともいわれています。また住民が全く住んでいない無人区や、一年を通して、土地が凍っている地域など、工事は本当に大変でした。
青海チベット高原は、景色が素晴らしいところだということは誰もが知っていたんですが、交通が不便ということで、観光が非常に難しかったんです。また経済の発展も制限されました。ここに鉄道を敷設する計画は早くも1950年代にありました。そして、数世代の人々の努力の結果、ようやく開通にいたりました。
中国各地との行き来も便利になりますから、経済に与える影響も大きいと見込まれます。交通のコストも安くなりますし、輸送力も高まります。天気によるリスクも減りますから、現地の人々はもちろんこの鉄道開通を大歓迎です。
これまで、青海省やチベット自治区は全国でも経済発展が立ち遅れた地域でした。これにより、経済成長率が12%以上となり、全国で中ランクに位置できるところまできました。
さて、青海チベット鉄道の走る高原は、野生動物が多く生息しているところで、そういった生態環境をいかに保護するかというのもテーマとなりました。
このあたりには、チベットカモシカなど、絶滅に瀕した動物も多くいます。これについて、まず鉄道建設前に、措置が講じられました。列車が走ることで、こうした動物の移動コースが遮断されることがないように、野生動物のための専用の通路を33ヶ所、設けけました。
まずは線路を動物の生息地から避ける、つまり通さないようにするということです。そして、トンネルを掘る、もしくは橋を架けて、そこを動物が通るようにします。
そして、沿線の環境に影響が出ないようにと、この鉄道はお手洗いや、ゴミ、廃水の処理などでも新しい技術を取り入れています。また沿線で数箇所のゴミや汚水の処理所を設けて、週一回、ごみ収集専門の列車を走らせて、ごみや廃水を持ち帰るというわけです。
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