ラベンダーはシソ科の常緑樹であり、原産は地中海沿岸といわれています。 日本では北海道のラベンダー畑がとても有名ですが、実は、北京にもラベンダーの農場がありました。中国では、ラベンダーを加工したオイルなどは売っていますが、生の花となるとほとんど見かけることはありません。今まで市場で扱っているものは主に輸入に頼っており、中国原産というラベンダーはまだないようです。
中日両国の協力によって、北京でラベンダーを育てるという企画は2、3年前から、すでに始まっていました。日本の技術者が開発した品種の苗を北京に植え、中国でラベンダーを普及させようというもので、中国の会社が資金と土地を提供するといった形でこの企画を進めています。北京郊外にある7ヘクタールほどの土地を栽培拠点に選びましたが、これは全国でも初の試みで、今後は中国全土に広めるつもりだということです。ラベンダーには鎮痛や精神安定、防虫、殺菌などに効果があるとされています。今回の栽培は北京の環境改善も目指しているようです。特に、最近は健康や癒しブームなので、ラベンダーの栽培もきっと北京市民の関心を集めるのではないかとも関係者が話してくれました。
日本側の関係者によると、日本の技術者が中国の土壌を研究し、雲南省の昆明でもテスト栽培を行っています。植物検疫や実験などで、かなり時間もかかりました。今回開発したラベンダーの品種は、乾燥に強く、中国の自然条件に合うものだそうです。
さらに、この企画の関係者は「今回の栽培をきっかけに、北京で農業生産をテーマとするラベンダー観光パークを作ることも予定されている。今の段階では、主に社会に有益な公共事業として推進していくつもりだが、2008年の北京オリンピックに向けて大きなビジネスチャンスが見込まれ、中国の農業にとっても刺激になるだろう。2008年までにはラベンダーの栽培はかなりの規模になるし、そのときは香水をはじめ、食品、医薬品、日用品への加工のほか、観光事業など様々な分野でラベンダーと関連したビジネスチャンスが生まれると思う」と語ってくれました。
今後はラベンダーを育てる良い条件を備えている陝西省などにも栽培範囲を広げるほか、ラベンダーの生産を通してお年寄りなどの雇用環境もつくっていきたいということです。
【参考】
ラベンダーの属名「Lavendula」は「洗う」という意味のラテン語に由来します。これはローマ人達が入浴や洗濯の際にラベンダーを湯や水に入れることが好きだったからだということです。
|