炎黄国医館は診療だけでなく、健康なライフスタイルをテーマとした講座を各国大使館でも定期的に行っているそうです。最近は経済成長で人々の生活も豊かになり、健康志向の人も増えている背景もあり、国医館でも最近は健康をキーワードに美容部門、マッサージ部門、薬膳料理部門などを充実させています。今回はその中でも薬膳料理に注目してみました。
薬膳はただ漢方の生薬をベースに作った料理というわけでなく、植物や肉など薬効のある食材を使い、その食材の組み合わせで効能が出てくる料理のことを指します。厨房を取り仕切る総料理長の倪樹海さんは、10代のころから漢方薬販売で有名な同仁堂で薬膳加工の仕事をしていたそうですが、その後薬膳の知識を生かし、料理人としても成功した人です。98年から東京の半蔵門で2年ほど仕事をした経験もあり、当時はほとんどの生薬や食材など中国から持っていったそうです。倪さんの紹介によると、厨房では14人のコックが働いています。メニューは500品ほどあるそうですが、今も新しい料理を開発しているところです。季節によってメニューを調整することもあるほか、お客さんの健康状態に応じてメニューを決めるときもあります。薬膳レストランは15テーブルほどで、150人ほどのお客さんを収容できるそうです。
厨房脇にある事務所の壁には食べ物の名前が書き込まれた大きな表が貼ってあります。この表は原材料の組み合わせを記したもので、左の方は野菜類が40種類ほど、右の方には肉類や海産物の名前が書いてあります。なかでも海産物には薬効のあるものがとても多いようです。フカヒレや燕の巣、それにワニの肉など贅沢な食材も入っています。これらの食材のほとんどはコック自らが養殖場や市場で購入してきます。また、事務所にある食材庫には美味しいと定評のある調味料や、普段見たことがないような食材がたくさん保管されていました。総料理長の倪さんはお皿にいくつかの食材を出して詳しく説明してくれました。
1、金銀花(きんぎんか):スイカズラの花を乾燥させたもの。解熱や利尿作用があり、普通はキュウリといっしょに調理します。
2、 砂仁(しゃじん):ショウガ科の果物の種であるビャクズクやハナミョウガの種。魚料理に入れると消化系統によく効き、便秘や脱毛症を治す効果もあります。
3、 天麻(てんま):ラン科の多年草であるオニノヤガラの根茎。暑いときに豆腐や魚などと煮込むと頭痛やめまいを治す効果があります。
国医館の薬膳は薬臭くないのが特徴で、調理のときに多くても3種類か4種類の食材しか入れないのには訳があり、あまり多く入れたとしても栄養過剰で無駄になる場合も有れば、相性の悪い食材があると逆に調子が悪くなるときもあるからだからだそうです。薬膳料理の中でも、特にスープを作るにはかなり時間をかけ、最低でも20時間以上もかける場合もあります。そうしなければ味も出ないほか、薬効のある成分もしっかりと体に吸収されないそうです。実際に効果があるかどうかは国医館の薬剤師が常にチェックしています。
【北京炎黄国医館】
北京市前門東大街23号
電話:(010)65128601
FAX:(010)65234397
e-mail:yanhuang@35.com
HP:http://www.yanhuang.com.cn (中国語のみ)
交通:地下鉄2号線(環状線)前門駅下車、徒歩5分
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