トン族は中国南部の貴州省、湖南省、広西チワン族自治区に生活しており、人口は約250万人です。南の多くの少数民族と同じように、トン族の人々は歌を歌うことがとても上手です。しかし、ほかの民族と違って、トン族の歌はハーモニーです。しかも、トン族のハーモニーは今年中国の無形文化財にランクされる予定です。
今年の2月、中国初の無形文化財博覧会は北京で行われました。その際、貴州省黎平からのトン族少女ハーモニー合唱団も北京の舞台に登場し、綺麗な歌声で多くの観客を魅了しました。これらトン族の娘にも突撃取材をしてきました。
北京の民族文化宮劇場。1時間後、中国初の無形文化財公演がここで幕を開けます。楽屋から綺麗な歌声が聞こえます。ああ、トン族の民族衣装を身に纏った10数名の少女がここでリハーサルを続けているみたいです。
どこから来たの?
貴州省。
北京へ来たこと、ありますか?
いいえ、ないです。
今年、お幾つですか?
13歳。
普段はよく歌を歌いますか。
はい、いつも歌います。
いつから歌を習ったの。
3歳か4歳の時から。
誰から教わったの。
学校でも習ったし、母も教えてくれた。
皆さんの通っている学校はトン族の学校ですか、それとも普通の学校ですか。
普通の学校です。でも、1つの芸術クラスがあります。われわれはトン族の芸術クラスに通っているの。
ほかの民族と比べて、トン族の自慢ごとは何ですか。
ええ、歌うことでしょう。また、われわれトン族の村には、綺麗な鼓楼と花橋がありますよ。
学校ではトン族の言葉を勉強しているの。
そんな、学校で習う必要はないわよ。生まれてからずっと使ってますから。
子供たちの真剣の練習振りとわくわくした笑顔、今晩の公演はきっと成功できるでしょう。
いよいよトン族ハーモニーの出番です。今回公演の司会を担当する中国有名な文化学者田青さんは次のように紹介していくれました。
「子供たちの純粋の歌声、完璧なハーモニーを聞いた後、われわれは無形文化財をいかに保護するか真剣に考えなければなりません。西洋音楽では伴奏なしのハーモニーがあります。トン族のハーモニーはそれと似ているところがあるものの、歌う人はプロの音楽教育を受けたことがないし、歌う前、基準音が必要なく、それぞれ自分の歌う音調が自然に口から出てきます。これは小さい頃から自民族の文化で培った感性でしょう」
音楽は本当に不思議なものですね。音楽には国境がありませんが、異なる国や民族の音楽は必ずその国の人々や、その民族の個性を表していますね。ですから、音楽も自分の国や自民族を世界に理解してもらう大事な財産ですね。
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