「坊や!いま水持ってくるからね。腹すかしてるんだろうが、かまんしな。夜になったら、村で食いもんもらってくるからね。そうすれば腹いっぱい食わしてやるよ」
「うん、おばさん、ありがとう」
こうしてばあさんは、まずは谷を流れる川から水をすくってきて朱元璋に飲ませた。
そしてばあさんはまた出かけ行き、日が暮れることに帰ってきた。
「坊や!熱は少し下がったかい?今日は沢山もらってきたから、お前は腹いっぱい食えると。お前も、運がいいねえ」
こちら朱元璋は少し元気が出たのか、これに応えた。
「本当かい?おばさん」
「本当だとも」
これを聞いて朱元璋は起きて何とか座り、ばあさんが手にしているボロ鍋を目を丸くしてみていた。
「ほらほら。まだ少し熱があるんじゃないのかい?寝てな、寝てな。もうすぐできるから」
こうしてばあさんは、外から石を運んできてかまどみたいなものを作り、真ん中に柴を入れて火をつけ、その上に食べ物が入ったボロ鍋をおいた。しばらくしてボロ鍋の中の食べ物が温まったのか、湯気が出始めた。
「おばさん、いったい何ができるの?」
「これかい?これは・・・そうだね。これは・・。真珠・・翡翠と・・白玉湯さ」
「え?真珠翡翠白玉湯だって?珍しい名前だね」
「もうすぐできるから、まってなよ」
こうして食べ物が出来上がり、ばあさんはそれを小さなお椀に入れて腹の虫を鳴らしている朱元璋に渡した。
こちら朱元璋は、待ってましたとばあさんが渡してくれた細い枝を折って作った箸を使って熱々のものをフーフー吹きながら遠慮なく食べ始めた。
「ほらほら。何を慌ててんだい?誰もとったりはしないよ。もっとゆっくり食べなさい」
「うまい、うまい。こんなうまいも生まれて初めてだ!」
「そうかい?まだまだあるからゆっくりお食べ!」
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