王さんはパソコンでチャットを楽しむが、史さんは「直接会っておしゃべりするほうがいい」とあまり好まない。
人によって興味や要求が異なるのは当然のことだ。オンライン上で知人や見知らぬ人とおしゃべりし、寂しさを紛らわす人もいる。しかし大部分の人は、インターネットを手軽な連絡ツールとして利用している。特に若者は、仕事が忙しくて友人たちと集まる機会が少ないので、チャットによって仲間との繋がりを保っている。
若者たちはパソコンを起動させるとまず、広く利用されているメッセンジャーソフト(オンライン上でリアルタイムにコミュニケーションができる)の「QQ」や「MSNメッセンジャー」を確認する。もし、メンバーのアイコンが光っていたら、その友人はオンライン中であるしるしなので、仕事をしながら、時々メッセージをやりとりする。パソコンの前にいるのは自分1人だが、気持ちは友人たちと一緒だ。
政府機関に勤める中年の李魯生さんは、早くからインターネットに親しんできたが、チャットはしたことがない。友人との交流方法は、やはり電話や会食だ。見知らぬ人とおしゃべりをすることには慣れていない。
ある時、インターネットで偶然、フォルクスワーゲンの「車友会」(同じブランドの車を持つ人々が集まるクラブ)のフォーラムを見つけた。愛車への関心から、その内容を読んでみたが、すべて彼が興味を持っている車の話題だった。そこで、時間があるとそのフォーラムに参加し、他の人の書き込みを読んだり、自分の意見を書き込んだり、車の手入れの要点や補修方法、運転のテクニックなどを質問したりするようになった。李さんはこのフォーラムに参加して車に関する多くの知識を学んだ。また、他の参加者が教えてくれた車の手入れ方法も試してみたが、非常に効果的だったという。
李さんは見知らぬ人との交流を、フォーラム上で会話するだけに止めている。しかし、「車友会」の若い会員たちの交流は、オンラインからオフラインへと発展している。彼らは休日に集ってドライブに出掛けたり、貧困農村の子どもたちの学費を援助する活動を行っている。こうした活動の内容や写真がフォーラム上で発表されると、李さんもうらやましく感じる。それでもまだ、このようなグループ活動に参加しようとは思い切れない。「彼らはみな若者で、私のような年齢の人がいるかどうか……」と考えてしまうからだ。
インターネット上のフォーラムはとても多く、その内容も多種多様だ。専門性の強いフォーラムだけでなく、料理、育児、ダイエット、美容、病気の治療、養生など日常的なテーマが数多くある。興味さえあれば、どのフォーラムにも参加できる。これによって交際範囲が広がり、知識も手軽に手に入れることができる。
ーー「人民中国」より 侯若虹=文 馮進=写真
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