中国では都市化につれて、都市住民のコミュニティの整備が進んでいます。医療や、お年寄り、体の不自由な人々や子供たちのためのサービスなどは、このコミュニティの中でも享受できるようになっています。住民は自らのコミュニティの中で何不便無く暮らしをできるようになっています。
中国西部の重慶市は、1997年に北京、上海、天津に次いで中央政府の4番目の直轄市に指定されました。西部地区における唯一の直轄市として重慶市は、近年大きな発展を遂げており、人口はすでに3千万を超えました。東京都の倍以上の大都市です。
真武山、真に武装の武と書く山、真武山というコミュニティは、重慶市の数多くのコミュニティの一つです。ここに設置された診療所は、住民のために大きな便宜を提供しています。普通の病気はこの診療所で看てもらえるほか、住民のための健康管理をもしていて、定期的に健康診断を行っています。
住民の曹艶芳おばさんは病気になるとよくコミュニティの診療所を利用します。
「診療所のお医者さんはとても優しいです。コミュニティの住民なら、薬の価格は安くなるから、とても便利で す。それに、毎年二回、無料で健康診断をしてくれます。医療ステーションはみんなから喜ばれています。」
コミュニティの診療所の設置は、中国の都市部で一般的に作られています。これまでのコミュニティのサービス機能といえば、郵便物の配達など簡単なものでした。しかし、近年、都市化の発展にしたがって、住宅団地が多く開発されるのに連れて、コミュニティのサービス機能はますます多様化されました。
医療サービスもその重要な一環です。診療所は複数のコミュニティに設置されています。ここに勤めるお医者さんも多くなり、設備も次第に整備されています。
北京ではコミュニティの診療所は700ヶ所を数え、市全体をカバーできる医療ネットワークが一応形成されています。
また、東北部の港町・大連市でも、コミュニティの医療サービス機能が完備しています。大連市西岡区石道街というコミュニティを例にしますと、その診療所は最初の医療従事者は10数人だったのが今では40数人を超えました。
この診療所の責任者・劉ヘイさんは次のように述べました。
「このコミュニティの住民は、基本的な医療のほか、病気予防、保健、リハビリも受けられます。それに計画出産の指導にも当たります。住民は、普通の病気なら、コミュニティを出なくても治療を受けられます。」
医療のほかに、高齢者の介護もコミュニティの重要な任務の一つです。これまでは、高齢者の介護は主にその子供たちがしていましたが、コミュニティの機能が整うに連れて、コミュニティ内でも高齢者の介護ができるようになっています。
お年寄りは自分の家に住んでいながら、家庭服務員の介護を受けられ、自分の慣れた環境で老後を送ることができることから、お年寄りに喜ばれています。
北京市西城区汽南コミュニティで去年、「壁のない老人ホーム」を設けました。というのは、老人ホームの機能をコミュニティが備えて、お年寄りの具体的な要望に答えて、家事や医療などのサービスを提供するものです。現在、このコミュニティに住んでいるお年寄り1300人がそのサービスを受けています。
王世良さんもその一人です。
「自分の家に住んでいて介護してもらえるので、家を離れずに、子供と離れ離れにならずに、老人ホームと同じようなサービスをしてもらえて、なによりです。」
普通の住民のほかに、特殊な人たち、たとえば犯罪者の矯正のためのサービスもコミュニティが担当しています。
2003年7月から、軽い犯罪者や受刑中に模範囚で、減刑になった人に対して、裁判所は、住所のあるコミュニティで矯正を受けさせます。
現在、北京、山東省、江蘇省など六つの省や直轄市でコミュニティによる犯罪者の矯正が行われています。北京では、コミュニティで矯正を受けている犯罪者は4000人余りいます。
コミュニティの係員は犯罪者と常にコミュニケーションを保ち、矯正をすると同時に、正しい人生観や価値観を持たせます。また、公益活動に参加させて、周りの人々との交流のチャンスを作り、一日も早い社会復帰を促します。
犯罪者に対するこうした矯正の仕方は、学者から高く評価されています。北京の社会学者・周振基さんは次のように言っています。
「普通の人から見れば、刑務所内の環境は犯罪者にとって大きなプレッシャーとなります。こうした人々は一旦、社会に復帰すると、どのように周りの人々とコミュニケーションを保つべきか、分からなくなります。しかし、コミュニティでの矯正は、ほかの人々と接するチャンスを提供するので、社会への復帰にとって非常に有効です」
こうしたコミュニティにおける犯罪者の矯正の面で、中国は先進国に比べ、まだかなりの差がありますが、コミュニティの矯正は発展の趨勢となっています。
コミュニティのさまざまな機能を総括して、よりよいサービスを提供するため、一部の都市ではコミュニティサービス情報センターを設けています。北京市コミュニティサービスセンターの責任者・底志欣さんは、北京のコミュニティサービス・ホットラインを紹介して、次のように語りました。
「このホットラインシステムは、進んだ通信技術とコンピュータ技術を利用して設けたもので、市全体のコミュニティを総括するものです。サービスは、家事、修理、娯楽、衛生、法律諮問など六通りの200項目あります。」
サービスセンターの担当者が、住民からの依頼電話を受けたあと、その住所にしたがって、最寄りのコミュニティにサービスを任せます。このホットラインが開通して以来、毎日一千通ぐらいの電話がかかってきます。
コミュニティのサービス機能の強化は、中国政府からも支援されています。中国民政省はこのほど、コミュニティのサービス機能強化の政策的文書を出しています。そこで一番利益を受けるのは住民の人々です。ますます便利なコミュニティが期待できそうです。
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