「そんなに京劇を嫌っていたのに、どうして今まで頑張ってこられたんですか?」
「責任ですよ。現在の梨園は『十浄九裘』(10人の浄のうちには9人は裘派です)の状況ですが、彼らは『裘』という姓を名乗らなく、僕こそ本物の『裘』です!」
「皆に知られているように、おじい様の裘盛戎さんは一世一代の役者でありますが、貴方にとってはどういう存在ですか?」
「神です。僕にとって、祖父は神のような存在なので、京劇に対する態度を変えることができました。もちろん、この過程にはたくさんなことがありましたが、やはり祖父の存在が一番の原因だと思います。少しずつ京劇に興味を持ち始めて、僕もだんだんと変わっていきました。例えば、祖父が姚期、竇尓頓や周処を演じたりするときの気持ちがなんだかわかるようになってきます。」
「今、一番演じてみたい人物は誰ですか?」
「『姚期』の姚期と『連環套』の竇尓頓、『除三害』の周処、そして『将相和』の廉頗です」と、彼は家法を数え上げるような誇らしげな表情を見せました。
「この中で、たっだ1人しか演じられないのなら、どの人物を選びますか?」
「うん……」眉をしかめて考えた末、「今なら一番演じてみたいのは『除三害』の周処です。なぜと言うなら、この人物の性格や年齢が今の僕と近いですから。もし僕が三十代になったら、年上の姚期のほうが演じたくなるかもしれません」と答えました。
「もちろん、これらの人物と演目はすべて祖父が心血を注ぎ尽くしたもので、僕はできるかぎり全面的に継承していくつもりです。いつか……いつかきっと、すべての人が僕こそ本当の『裘』だと認めてくれるはずです。ねぇ、奇跡を信じていますか?」
彼の輝いた笑いにつられるように、私も思わずに微笑みをうかべました。
「信じます。」
「僕も信じますよ!」と、2人とも顔を見合わせて笑っていました。
言いようのない不思議な力を持った目の前の若い役者が、なんだか本当に奇跡が起こるように感じました。彼ならきっといつか祖父の裘盛戎を超えられると信じます。(楊)
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