「孫権のような複雑な人物を、どうやってそんなに上手く演じられるんですか?」
「信じたからです。祖父の裘盛戎は『役者にとって最も大事なことは、自分がこの人物だと信じることだ』と言ったことがあって、僕はただ、祖父が言ったことの通りにしただけです。」
「なるほど、本当に生き生きとした孫権でした。」
「そうですか、安心しました」と、裘継戎はメーキャップを落としながら話を続けました。「実を言うと、どんな演目であっても、公演するたびに、緊張します。」
「なぜですか?」
「僕に関心を持っている人が多すぎるからです」と、彼はタオルで顔を拭いて、「僕たち梨園の名門の子弟は、確実に演じられた場合は当然のことと見られますが、ほんの少しのミスを犯した場合はどのぐらいの責めを受けるか想像できますか?」
「知っての通り、祖父も父も早く亡くなって、祖父に会うことさえできなく、僕はずっとたっだ1人でここまで頑張ってきました。どうして僕はこれ(京劇)をやらなければならないのかと考えたこともありますが……」
「答えは何ですか?」
「責任です。」
なんだかとても重い言葉のような気がしました。
「僕は9歳から北京劇曲学校に入って、正式な京劇の勉強が始まりました。初めは、僕は全く興味がなく、その上京劇のせいで友達さえ失ったこともあって、さらに嫌いになりました。実はダンスに夢中でしたが、禁止されてしまいました。」
「誰が禁止したんですか?」
「もちろん家族に決まっているでしょう?まだ学校にいる時、友たちと一緒に踊っているところに、伯父さんが突然やってきて、何も言わずに平手打ちをされました。耳が聞こえなくなるほど激しかったので、その夜、僕は入院しました。考えられないですか?本当のことですよ」と、裘継戎はまるで他人のことを言っているように笑いました。
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