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大橋洋治氏 ANA全日本空輸株式会社代表取締役会長

2009-01-01 01:32:45     cri    

      中日の戦略的互恵関係の継続に期待

 日本にとって、中国はすでにアメリカを抜いて最大の貿易相手国になりました。学生時代から日中貿易に強い関心を持っていた大橋洋治会長は、両国の戦略的互恵関係の継続に強い期待を寄せています。劉非、趙新宇、歩晶晶記者がインタビューしました。

■アジアの会社

Q 今、ANAの中国線市場の現状を教えてください。

A ANAは、1987年、大連―北京線を開通したのが最初で、今、香港を含めて中国の10都市に22路線で乗り入れています。現在、アジアの売り上げのうち、約30%が中国線からの収入です。

Q  社名に込めた思いは?

A:わたしは社長になった時の記者会見で、「われわれはアジアで生きなきゃならない」ことを強調して、「ANAはアジアの中の日本の航空会社なので、ALL NIPPON AIRWAYSではなく、ASIAN NIPPON AIRWAYSのような会社を目指す」と話しました。

「アジアの中で生きていく航空会社」になることは、二代目社長の岡崎嘉平太の遺志を受け継いだものです。岡崎嘉平太社長が日中貿易を盛んにして日中間の物流や、人的交流を図っていこうとしました。従って、そういうことがDNAとして私どもの会社にあります。

2001年の同時多発テロ以降、いろいろ危機がありましたが、それを乗り越えるために、やっぱりアジアの中で生きることだと考えたのです。アジアの中でも、中国に特化し、ネットワークを厚く張っていくと頑張ってきました。

【岡崎嘉平太】岡山県生まれ(1897~1989)。岡山中学校時代の寄宿舎の先輩で中国から留学していた陳範九氏との交友を通じて中国への関心を深める。1922年東京大学卒業後は日本銀行に入り、ベルリンや上海に長く滞在しながら激動する世界情勢を目に当たりにする。1961年から1967年までANAの社長を務め、日本の航空業界の発展に大きな足跡を残す。1962年以降LT貿易に尽力し、訪中回数は100回に及び、中日国交正常化に多大な貢献をした。

■両国の関係発展を喜ぶ

Q:大学の卒業論文のテーマは「日中貿易論」だったと聞いています。

A:私は1960年に大学に入り、1964年に卒業しましたが、当時は「LT貿易」(廖承志氏のLと高碕達之助のTを取ってLT貿易という)と言って、政府間が貿易協定を交わしていなく、民間の中で細々とやっていた時代でした。

 私が貿易論を専攻したのは、自分が中国生まれですし、父が雑貨商だったため、将来は日中貿易というのは伸びるじゃないかというようなことで、簡単な気持ちで「日中貿易論」のテーマを選んだのですけれど。

 当時は、日中貿易なんか、だれも耳にしたことがなくてね、ゼミの中でも、日中貿易と言うような卒業論文のテーマを選んだのは私だけで、卒論を書くのに、資料の探し方も含めて、どこから着手すればよいか、分かりませんでした。

 そこで、夏休みに田舎に帰って父にそれを話すと、「故郷の先輩で岡崎嘉平太という人に会いに行けば良い」と言われました。それで、全日空の社長室まで会いに行って、いろいろ話を何度となくお伺いして、そうやっているうちに私は全日空に入りました。

 2001年、社長になった時に、先に言ったような何とか危機を乗り越えなければならないということで、いろいろネットワークを張ろうと、ちょうど翌年は、中国がWTOに加盟した年なのですね。日中貿易はこれからますます伸びるだろうと思っていたことは事実です。1978年、日中平和友好条約が締結した時、日中間を往来する人は延べ4万人ぐらいしかいなかったかなあ。それが30年経った今年は延べ500万人になりました。

 一方、貿易も2007年の日中貿易額は2400億ドルになり、中国はアメリカを抜いて日本にとって、一番の貿易相手国となりました。私が見ていた夢が現実になったので、非常に喜んでいます。

■金融危機で客数が減少

Q:世界金融危機の影響は?

A: 2007年暮れ~2008年年頭までのお客様の流れはそれほど影響を受けていません。それから、段々と2008年夏になって、中国から成田を経由してアメリカに運ぶ貨物は、そこそこ順調だったですけど、2008年夏からアメリカ発の中国行きがかなり減った傾向がありました。8月の夏になると、今度はお客さまのビジネスニーズが減ってきました。9月10月今もそうですけど。特に、金融危機の影響だと思いますけれど、ビジネスのお客さんも20%近く落ちてきたと思います。しかし、それで手をこまねいているのはわけにはいきませんですから、いろいろなことをやっていくと思います。

■中日の環境エネルギー協力を期待

Q:両国の経済協力に対する展望は。

A:中国は今年の春先に大雪が降って、それから四川大地震に食の安全の問題がクローズアップされました。日中間の貿易も含めた交流の勢いがストップしていました。これはいずれおさまることと思います。今回も私は大地震の影響で中国が大変だと思いますけど、これも克服して、食の安全、これもおさまって来る。そうすると日本からのお客様もまた元に戻ると思いますし、貿易も安心してやっていけるのではないかと思っています。

 また、東アジアにおけるFTA(自由貿易協定)交渉では、今後はASEAN十カ国プラス中日韓のみならず、オーストラリア、ニュージーランドとインドをも含めた包括的な協定を目指すべきだと思っています。

 2008年はまた、環境・エネルギー問題がテーマだった洞爺湖サミットも開催されました。日本は環境エネルギー、特に環境問題で豊かな経験があります。私が会社に入った当時は、羽田のすぐ近くにもくもくと煙が出る工場がありました。日本はそういうものを克服して、今日までやってきました。日本の技術をぜひ中国に応用して頂いて、協力しあって、環境エネルギー問題を軸にした戦略的互恵パートナーシップを続けていけたらと思っています。(聞き手:劉非)

【プロフィール】

大橋洋治【おおはし ようじ】全日空代表取締役会長

1940年     岡山県出身
1964年     慶応大学法学部政治学科卒業
          同年全日空入社、人事労務畑を中心に歩む
1995年     ニューヨーク支店長
1997年     常務
1999年     代表取締役副社長
2001年4月~  代表取締役社長
2005年     同会長

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