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真家陽一氏 JETRO・日本貿易振興機構北京センター次長

2008-12-29 21:50:24     cri    

ピンチはチャンスでもあり、中国経済の早期回復に期待 



















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 中日の政治、経済関係がいずれも長足な進歩を遂げた2008年。この秋、突如アメリカで起きた金融危機はその余波を世界に広げていますが、両国の貿易や直接投資の動向、および金融危機の影響はどうなっているのでしょうか。JETRO・日本貿易振興機構北京センターの真家陽一次長に話を聞きました。
 真家氏は2004年4月に中国に赴任し、目前に迫った離任を前に、4年8ヶ月の中国滞在を振り返り、これから中国を訪れる人に相互理解を深めるコツに至るまで熱く語ってもらいました。

■2008年、中日貿易も日本の対中投資も増加傾向

Q 今年に入ってからの中日貿易や日本から対中直接投資の動向はどうなっていますか。

A 日中貿易は2007年に2367億ドルに達し、アメリカを上回って、中国が日本にとって第一の貿易相手国となりました。今年に入ってからも、9月末現在で、貿易総額は前年同期比17.5%増の2013億ドルということで、昨年を上回る伸びを示しています。

 また、中国商務部の統計によりますと、日本の中国への直接投資は2006年、2007年連続で前年割れでしたが、今年に入ってから、上半期ベースで10.1%増の21億7200万ドルとなり、増加に転じています。

Q 貿易の中身にどのような特徴が見られましたか。

A 日本から中国への輸出が底高く伸びているのは、中国の需要がまだまだ旺盛だということがあります。とくに、今年に入ってからは、中国のインフラ整備、資源開発に支えられて、建設用や鉱山用の機械の輸出が増えていますし、自動車メーカーは中国での生産額を拡大していますが、そういったメーカー向けの関連部品の供給も現在伸びています。

Q 今年に入ってから、国際原油高や工業品価格の上昇、人民元の切り上げなどの影響を受け、中国での生産コストがますます上昇していますが、それでも、日本の対中直接投資は伸びていますね。

A 下半期の数字はまだ統計中ですが、上半期だけで言いますと、第一に、中国での市場拡大を背景に、自動車メーカーによる工場拡大を始め、追加投資の発表が相次いでいること。

 第二に、中国市場での売り上げの拡大をはかることを目的に、販売機能や研究開発の強化を志向した投資が増えたこと。

 第三に、日本と中国の企業はそれぞれの優位性を生かしながら、合弁会社を設立したり、戦略的なビジネスアライアンスを推進して事業拡大を図るための増資といった特徴もあります。

Q 長い目から見ると、中国は日本企業にとってどのような位置づけになっているとお考えですか。

A 日本国内の市場はすでにかなり成熟しており、今後さらに伸びることは期待しにくいです。そのため、日本企業は相次いで、海外進出に活路を見出そうとしています。この中、日本にとって、距離も近く、市場も大きい中国が有力なターゲットになっています。

 対中投資の中、製造業の投資が一段落つきました。最近、増えているのは非製造業分野です。とくに、中国市場を狙った卸・小売業の投資が非常に増えています。今年に入ってからも、無印良品やファーストリテイリング社(ユニクロ)がそれぞれ北京で店舗をオープンしました。11月には、小売業のイオンは北京郊外に駐車場3000台を有する大規模なショッピングセンターをオープンしました。

 今後、日本からの投資分野はまだまだ拡大していくと思います。小売、環境、省エネもあれば、農業分野の投資もあるし、様々なコンテンツ、漫画、映画、ドラマ、アニメなど、いろいろな可能性が考えられます。

Q  2009年以降のトレンドは?

A 来年の予測はなかなか難しいですが、アメリカ発の金融危機の影響によって、とくに欧米などの先進国の消費がさらに停滞した場合、中国の対外輸出が伸び悩むことになれば、日本から中国へのキーパーツの輸出に悪影響を与えることも懸念されますし、中国の経済もそれにあわせて減速するでしょう。また、内需が伸び悩んでしまえば、自動車やデジタル家電に代表される日本からの高付加価値の消費財の輸出は伸び悩む可能性も考えられます。

■それぞれの国の景気対策が大事

Q 世界金融危機は、中国に進出している日本企業にも影響が出そうですか。

A 中国に進出している日本企業の売り上げの半分が中国国内、3割が日本への輸出、残り2割は第三国への輸出です。そのため、日本の企業が直接アメリカ、ヨーロッパ向けに輸出する比率は小さなものです。ただ、中国国内販売と言っても、実は販売した相手先の企業がその部品などを使い、最終的に出来上がった商品をアメリカに輸出しているケースも結構あります。こういう場合、アメリカ経済、ヨーロッパ経済が低迷してくれば、影響を受けると思います。他方、中国の内需が今後、順調に拡大していくのであれば、そちら向けの投資、日本国内からの輸出が増えていくと思います。中国は安定した経済成長を続けていくのであれば、日中間の経済関係に、それほど大きな影響はないのではないかとも考えています。

Q 両国の貿易拡大において、何が大事だとお考えですか。

A かぎとなるのが、両国のそれぞれの国内での景気対策だと思います。特に、中国政府が11月9日、総投資額が4兆元、日本円にして約57億円に上る大型の景気対策を発表しています。こうした景気刺激策によって、消費や投資の需要が喚起できれば、日本から中国への輸出も期待されます。

Q 中国はG20の緊急サミットの開催前に4兆元の景気刺激策を発表しました。

A 世界金融危機に向けて、中国も積極的に取り組んでいるということを示す重要なメッセージでした。今回の金融対応で、欧米諸国がもっとも期待しているのが中国です。中国は単なる発展途上国の代表ではなく、大国としての責任を果たすという重要なメッセージを世界に発信しました。

 この4兆元の半分が鉄道への投資に投入されています。中国は高速道路が整備されていますが、鉄道の整備が以前として遅れており、交通面のエネルギー効率も悪いです。今後、鉄道への投資がきっかけとなり、交通面のエネルギー効率の改善、ひいては、環境問題に対しても大きく貢献することで、今後の経済成長に非常に重要なものになると思います。

■ ピンチはチャンスでもある

Q 中国国内では、今回の金融危機に対して、輸出依存型の経済成長モデルを内需重視型に変え、構造調整の良いチャンスでもあるという見方がある反面、低コストの「メイドインチャイナ」の強みを守ろうという声も聞こえます…

A 中国はこれまで、数年にわたって、外需依存から内需依存型に変えていくことを大きな目標として考えてきましたが、実際は進んでいませんでした。今回は、外資に依存しすぎることは、バランスを欠くものだと認識を新たにしたのだと思います。そういった意味で、今回の危機は、外需依存の経済から内需依存経済に変えるための大きなチャンスになると思います。

 確かに、今までは沿岸部にある輸出型で、付加価値の高くない製品が中国経済を牽引してきましたが、中国は色々な形でコストが上がっています。人件費に原材料価格、今後は人民元の切り上げも予想されます。今までのように低付加価値のものを作っていたのでは、やはり持続可能なものにならないと思います。今回の経済危機は、中国の産業構造の高度化に向けての良いチャンスになりうると見ています。

Q ずばり、世界経済の回復に、何年ぐらいかかるだろうと見ていますか。

A 予測するのは極めて難しいですが、アメリカ経済やヨーロッパ経済にしても、実体経済に及び始めたのは、ここ数ヶ月ぐらいの話です。本格的に実態経済に影響が及ぶのは来年になります。来年、主要国の経済はゼロかマイナス成長になり、かなり厳しい1年になると見られています。

ただ、欧米の経済に比べて、中国については、少なくとも欧米の経済ほど調整の時間は長くかからず、欧米より中国のほうが早く回復できるだろうと見ています。中国ができるだけ早く、現在の調整期を乗り越えて、新たな成長期に入ることは、今後の世界経済の回復に大きなプラスにもなると思います。

■ 中国滞在を振り返る 

Q 4年8ヶ月の中国滞在はいかがでしたか。

A 中国には31の省、自治区がありますが、私はまだその中の22しか訪問できていません。各地を回って実感したのは、中国の大きさは日本にいては感じられないものでした。中国には格差問題がありますが、どこに行っても、発展に向けて開発が着実に進んでいることをこの目で見、肌で感じて、中国経済発展のダイナミズムというのを感じた4年8ヶ月でした。

Q まもなく離任されるとのことですが、両国のビジネスマンに一番伝えたいメッセージは何ですか。

A 日中の経済関係はこの10年あまりの間に、大きく進化し、互いに切っても切れない関係にあります。今後も中国の経済成長が続けば、あと数年で、GDPが日本を上回り、世界第二の経済大国に躍進する可能性が非常に大きいと思います。

 両国の相互補完性に注目したいです。日本は少子高齢化が進み、国内市場の伸び悩みがあります。日本企業はいずれにしても、海外へ活路を求めざるを得ない。その中で、中国が最も有力なターゲットになります。

 中国の継続的で安定した発展は日本の経済に資するものですが、一方では、省エネや環境など、様々な問題も抱えています。そういった面を日本企業は支援し、中日戦略的互恵関係をさらに進展させたいことを期待しています。

Q 中日両国の人々の相互理解に大事なことは何だとお考えですか。

A この4年8ヶ月の中国滞在で、私は様々な方々と対話してきました。率直にFace to Faceで、互いの思っていることを言うということは、相互理解を深める上で非常に大事だと分かりました。

 日本人の中にも中国が好きではない人がたくさんいて、まだ中国に行ったことがないとか、中国人と話をしたことがないという人が多いわけです。逆に中国人も同じだと思います。互いに会って話をしてみれば、いろいろ分かり合える面もあれば、ここが違うなと思う面もあり、それは交流することで初めて分かると思います。

 そこで、重要だなあと思ったのは、中国人と日本人はもともと違うのだとしっかり認識することです。欧米人は人種の違いがありますが、中国人は見た目が同じなので、なんとなく、性格も考え方が同じだと思いがちです。そこにギャップが生じるので、もともと違うのだとしっかりと認識した上で付き合ったほうが、相互理解につながるのではと思います。

Q  2009年はどのような一年になってほしいですか。

A 日本も欧米も先進国の経済は、実態経済は金融危機の影響を受け、相当厳しい一年になると思います。ただ、暗い話題ばかりでなく、ピンチの中にもいろいろなチャンスがあるものです。中国にとっては、外需型の経済成長を抜け出し、もっと高度な成長を遂げる上で一つの契機になり得るのではと思います。

 世界各国がもっとも期待するのは中国なので、4兆元の経済対策で成長を持続していけば、中国は決してピンチに陥っているわけではないと思います。また、2009年は中国にとって建国60周年の年でもあるので、ぜひそういった中で、お祝いできればなと思っています。

 私は日本に帰った後も、引き続き中国とかかわっていきたいと思っていますし、頑張りたいと思います。(聞き手:王小燕)

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