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日本で活躍している朱建榮教授

2008-12-15 14:12:09     cri    

政治問題を棚上げにしてでも 日中関係は前進させるべきだ!!

朱建榮(しゅ・けんえい ジュー・ジェンロン) 東洋学園大学教授

東洋学園大学 朱建栄教授

 1957年中国上海生まれ。81年中国華東師範大学外国語学部日本文学科卒、84年上海国際問題研究所付属大学院修士号(国際政治)取得。86年来日、総合研究開発機構(NIRA)の客員研究員、92年学習院大学で博士号(政治学)取得。京都大学東南アジア研究センター客員助教授、東洋学園大学助教授などを経て、96年から現職。現在は日本華人教授会議代表をはじめ日中関係の学会などの役員も務める

 世界的な大不況が広がるなか、日中両国も多大なダメージを受けている。にもかかわらず、中国経済は依然として好調だ。いったいその理由は何か、これからの日中関係はどのように変化を遂げていくのだろうか。テレビや雑誌などのコメンテーターとしても活躍中の朱建栄教授にそのあたりを聞いてみた。

 取材は張国清北京放送東京支局長で、取材内容は日本東方通信社の週間雑誌「コロンブス」2008年11月号に掲載されている。

 張国清:朱さんはいつ来日したのですか。

 朱建榮:私は1986年に来日しました。日本に興味を持ちはじめたのは中学校の頃です。開設されたばかりの日本語のラジオに夢中になっていました。ですから、農村に下放されたときも、中国古典と日本語の勉強に没頭していました。その後、上海国際問題研究所付属大学院で日本語や日本文化を勉強し、86年に総合研究開発機構の研究員として来日したのです。

 張:現在は東洋学園大学で教授職に就いていますが、何を教えているのですか。

 朱:主にアジアと中国の政治経済、社会文化などを教えています。というのは、これからの日本にとって、中国とアジアといかに付き合うかということが非常に重要になるからです。私が来日してから22年が経ちましたが、その間、日中関係は大きく変わりました。そして、今はさらに大きな変化に向かう過渡期にあると考えています。私はこの時期を越えれば、日本と中国は対等な運命共同体として生きていくことができると考えています。  事実、日中関係はこの5年間で大きく前進しました。経済面ではすでに日中両国は運命共同体になっており、昨年の日本における対中の輸出入額はアメリカを超えてトップになりました。そして、これまで輸出入額でトップだったアメリカとの貿易は年々、減少傾向にあります。

 張:一方で、たがいに反中、反日感情の高ぶりも見受けられますが、そのあたりはいかがでしょうか。

 朱:この過渡期は精神的な調整期間でもあると考えています。たとえば、日本は中国の台頭で自信と誇りを損失しつつあるわけです。現に、日本は中国に対して余裕を持った対応ができなくなってきています。振り返ってみれば、80年代の中曽根内閣の頃は今よりも反日運動がはげしかったにもかかわらず、日本はドッシリと構えていました。が、小泉内閣の頃は靖国問題に関して、中国の言い分に耳を貸す余裕をなくし、「中国に押し切られたくない」といった意識から対立を長引かせていた一面がありました。と同時に、一般の人たちの中国に対する感情にも変化が見られるようになりました。10年前までは多くの人たちが中国に親しみを持っていたにもかかわらず、最近は反中を掲げる人たちが目立つようになってきました。ですが、いったん対等な関係を築いているとの認識が共有されれば、こういったことは問題にならなくなるはずです。ちなみに、こうした反中、反日感情を高ぶらせている原因はマスコミにもあります。福田元首相は胡錦濤主席が来日したときに「日本のマスコミはもっと客観的な報道をするべきだ」と発言しましたが、これはもっともだと思います。先日のメラニンの報道にしても、毒が検出されたことばかりが報じられており、その量が日本やEUの基準値の数十分の一だったということは報道されていません。  こうした問題を解消するためには、民間ベースでの情報の共有が大切です。その方法はイロイロあると思いますが、たとえばインターネットといったメディアを駆使して、たがいの国をより正確に知るというようにです。

 張:とはいえ、靖国問題などの歴史問題はかなり根が深いように思いますが。

 朱:そういった問題はひとまず棚上げしておくことです。そうしなければ、日中関係は前に進まなくなってしまうからです。事実、もっとはやく解決しなければならないことはいくらでもありますから。

 張:麻生太郎氏が総理大臣になりましたが、朱さんはどのような感想をお持ちですか。

 朱:中国人のなかには麻生氏に警戒心を持っている人がいますが、私はまったく心配していません。日中関係は今、大きな過渡期に突入しており、その流れはチョットやソッとのことでは変わらないからです。しかも、麻生氏は日本の国益を重視しているので、国益に有利な日中関係を悪化させることはしないはずです。

 張:ところで、日本と中国の相性はいいのでしょうか。

 朱:日本人と中国人は外見も含めて似ているようですが、大きく違います。私の妻は日本人ですから、とくに身近な範囲で日中間の文化や風習の違いを感じることがあります。ところが、不思議なことですが、さらに深く付き合ってみると、根っこの部分ではかなり似ているところがあるのです。私は02年にワシントン、昨年はロンドンで生活しました。おかげで、東洋人と西洋人の違いをハッキリと感じ取ることができました。やはり東洋は和を大切にし、譲り合いの精神を重んじるのに対し、西洋では個人の自由を尊重するのです。ですから、日本人と中国人は本質的には相性はいいはずです。  

 しかし、中国は目覚しい発展を遂げるなかで、和の精神を忘れつつあります。そのあたりをあらためて日本から学ぶ必要があるでしょう。と同時に、戦後、環境汚染を克服し、先進国にふさわしい国民の精神とマナーを築き上げてきた日本の経験を学んで、さまざまな問題解決にあたっていくべきだと思います。

 張:政治的な問題を越えて、日中両国には協力体制を構築してほしいものですね。ありがとうございました。

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