新聞、テレビ、通販などを通して 在日中国人にライフスタイルを提案!!
中文産業(株)代表取締役社長 羅怡文
1963年中国上海生まれ85年上海財経済大学卒業。89年来日。96年横浜国立大学大学院修士課程修了。92年東京池袋に中文書店を開店、中国語新聞『中文導報』を創刊。95年中文産業株式会社創立(事業内容:メディア・通信事業)、代表取締役に就任。97年株式会社ラクラクコミュニケーションズ設立(事業内容:放送・映像コンテンツ事業)、代表取締役に就任。06年上海新天地株式会社(事業内容:商業流通事業)を設立、代表取締役に就任。日本中華総商会副会長も務める。
在日中国人向けの新聞『中文導報』を発行している中文産業(株)は華僑メディア事業だけでなく、さまざまな日中間のビジネスを展開している。上海万博、北京オリンピックを機に、同社はどのようなビジネスモデルを描いているのだろうか。さっそく、社長の羅怡文氏にそのあたりについて聞いてみた。
取材は張国清北京放送東京支局長である。この取材内容は日本東方通信社の週間雑誌「コロンブス」2008年5月号に掲載されている。
張国清 北京放送東京支局長 羅さんが来日したのはいつ頃ですか。
羅怡文 私が来日したのは89年のことです。日本語学校に通った後、大学院に進学しました。そして、在学中に今のビジネスの基盤をつくったのです。すでに20年近くが経ちましたが、本当にアッという間だったように思います。
張 日本に対して、どのような印象を持っていますか。
羅 日本は非常に住みやすい国だと思います。国民性も温和ですしね。ヒョッとすると、最近では中国のほうがきびしい競争社会になっているのかもしれません。
張 そうはいっても、日本で起業するのは大変だったでしょう。
羅 よく聞かれるのですが、起業する分にはたいした苦労はありませんでした。むしろ「日本では外国人でもカンタンに起業できるんだなァ」と感心してしまったほどです。もちろん、事業が軌道に乗るまでには長い時間がかかりましたが。
張 羅さんは『中文導報』という在日中国人向けの新聞を発行していますが、これはいつ創刊したのですか。
羅 『中文導報』を創刊したのは、私がまだ大学院で学んでいたときのことです。当時、在日中国人の数は約20万人といわれていましたが、日本で中国の情報を得るのは非常に困難でした。インターネットがない時代だったので、中国関係に強い書店などに行って、新聞や雑誌を買う以外になかったのです。しかも、在日中国人向けの媒体はほんのわずかしかありませんでした。新聞といえば、留学生新聞くらいしかなかったのです。 そこで、私は大学生活の合間を縫って、在日中国人向けの新聞を発行してみることにしたのです。とはいえ、新聞の発行は困難の連続でした。当時はすべてアナログ作業だったので、発行前の2、3日は、かならずといっていいほど徹夜をしていました。
張 どのようにして販路を開拓していったのですか。
羅 最初の頃は知名度がまったくなかったので、ほとんど広告をとることができませんでした。ですから、日本語学校などでPRのために無料配布をしたこともあります。そういうことを繰り返していくうちに、チョットずつ部数が伸びてきました。とはいえ、何度か売上げが伸びずに「もう辞めようかな」と思うこともありました。
張 現在『中文導報』は在日中国人向けの新聞として確固たる地位を築いています。その飛躍の原因は何だったのでしょうか。
羅 時代の変化が最大の要因だと思います。しだいに在日中国人の数が増加し、中国情報に対するニーズが高まってきたのです。おかげで、現在は週刊で8万部を発行することができるようになりました。 しかし、ここにきて大きな課題が浮上してきました。それは読者の活字離れです。インターネットの普及とともに、若い世代の人たちがあまり活字を読まなくなってきたのです。だからこそ、これからはもっと明確に在日中国人が必要とする情報を提供していかなければ生き残れないと考えています。
張 中文産業では新聞発行のほかにも、さまざまな事業を展開していますね。
羅 私たちはメディア、通信、物流という3つの事業を大きな柱にしています。メディア事業においては、『中文導報』のほかに、『Chai』という雑誌も発行しています。また、映像コンテンツの製作なども行っています。通信事業に関してはケータイ販売の代理店業務のほか、衛星テレビ、インターネットテレビ(IPTV)の放送などを展開しています。そして、物流事業に関しては、衛生テレビやIPTV、インターネットを通じて、中国の食品や衣料品を通信販売しています。ちなみに、これらの事業のベースにあるのは『中文導報』をはじめとしたメディア事業です。メディアがあれば、読者や取材先からさまざまな情報を収集して、新しいニーズを発掘することができるからです。
張 かなり幅広いビジネスを展開していますが、中文産業は今後、どのようになっていくのでしょうか。
羅 私のビジネスは、あくまで在日中国人の生活支援を中心にしています。ですから、どの事業も在日中国人の生活をサポートすることが最大の目的なのです。新聞、テレビ、ケータイ、通信販売、一見するとバラバラの事業ように思えますが、それらはすべて在日中国人のためのサービスなのです。いつかは「中文産業のサービスがあれば大丈夫」といわれるようになりたいですね。
張 ご自身のなかで「成功したな」という実感はありますか。
羅 在日中国人の社会に少なからず貢献できたという自負はありますが、まだまだ満足はしていません。日本の国際化がすすんだときに、オンリーワン企業になれるように努力したいと思います。
張 やはり上場も視野に入れているのですか。
羅 そうですね。やはりひとつの目標として、上場は視野に入れています。北京オリンピックに次いで、上海万博が中国のビッグイベントです。そのあたりをターゲットに、大きく会社を前進させたいと思います。
張 これからも在日中国人のために、ビジネスを展開していってください。ありがとうございました。
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