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ロック魂炸裂!「2匹の犬の生活意見」

2010-06-10 09:52:17     cri    

 2007年に誕生し、公演回数はすでに500回を超えた。1公演で630回の笑い声と140回の拍手が鳴り響く。それが、小劇場界で今一番売れている孟京輝の爆笑喜劇「2匹の犬の生活意見」(中国語:两只狗的生活意见)である。この2年半で北京公演はもちろん、上海・武漢・蘇州とまわり、成都公演も控えている。

 やっと、彼らのおひざ元・中国国家話劇院の常設劇場である東方先鋒劇場で観ることができた。もっと早く観にくればよかった・・・と後悔した。そして、また観に来たい!と素直に思ったお勧めの1本である。

 内容を紹介すると、2匹の兄弟犬のお話。弟の名前は旺財(ワンザイ)、兄はライドリック・クドリッチ・アレクセイ・マクシミリアン・ビシカフ・ド・メイフーという名前、通称:来福(ライフー)と呼ばれている。最初から遊び心満載の芝居である。

 この2匹の犬が故郷の田舎を離れ、都市の生活に入っていく。彼らは、都会での幸せな生活に憧れ、偉大な理想を追いかけるが、都会での生活は彼らが思ったほど素晴らしいものではなかった。どこもかしこもコンクリートの壁ばかり、貧しさ・金融危機・すさんだ生活・・・そんな中で様々な生活に対する不満が沸き起こってくる。2匹の犬の純朴で単純な頭では理解し難い生きるうえでの様々な問題。それらを、円熟期を迎えた演出家が、素晴らしい2人の役者とともに、小劇場の舞台にのせてみせた。時に鋭く、時に厳しく、笑いの渦の中で彼らは吠えまくる。犬の眼で社会を、人間を厳しく見つめ、犬の口から社会や人間に対する不満をぶつけ、ユーモアたっぷりに描き出す。

 なぜ、こんなにも観客が興奮しているのだろう・・・と異様な盛り上がりに驚く。開幕の観客のつかみもうまい。遅れてきた観客にも、役者は語りかけ、どんどん舞台に引き寄せていく。この舞台は観客も共に参加して初めて成り立つ芝居なのだと、小劇場の原点を見る思いだ。相声(中国版漫才)の有名なメニューを読み上げる一幕や、中国話劇の古典「雷雨」の一段落など、面白要素満載で、役者は舞台でギターを弾き、ドラムもたたく。この1回の舞台でどれだけのエネルギーをつかい、汗を流しているのだろう・・・と彼らの舞台にかける情熱にただただ頭が下がる。

 笑いは人の心を浄化させる。観客はこの舞台の2匹の犬の叫びに共感し、ともに笑い、手をたたき、元気になって劇場をあとにするのだろう。

 最近、元気のない人に、元気になりたい人に観に行ってもらいたい芝居だ!  

 東単の東方先鋒劇場で6月13日まで。9月24日~26日に北京大学講堂でも公演あり。お見逃しなく!(取材:畠沢優子)

 

 監督紹介

 孟京辉 (演出家)

 1964年北京生まれ,中央戯劇学院導演系(演出)修士課程修了。現在、中国国家話劇院演出家。彼独自の想像力と遊び心あふれるセリフ回しで、中国小劇場界に新風を巻き起こし、中国話劇の新たな局面を開拓した。今や若者から絶大な支持を得る演出家の1人である。

 彼が演出した主な作品に、「思凡」、「あるアナーキストの思いがけない死」(中国名:一个无政府主义者的意外死亡)、「百年の孤独」(中国名:百年孤独)、「恋愛のサイ」(中国名:恋爱的犀牛) 、「臭い虫」(中国名:臭虫)、「愛情に関する結末の最新観念」(中国名:关于爱情归宿的最新观念)、「琥珀」、「鏡花水月」、「異性との出会い」(中国名:艳遇)など。現在東方先鋒劇場で「2匹の犬の生活意見」(中国名:两只狗的生活意见)、蜂巣劇場で「三つのみかんの愛情」(中国名:三个橘子的爱情)が公演中。

 また、彼が監督を務めた映画「にわとりの羽のように飛んでいく」(中国名:像鸡毛一样飞)は香港国際映画祭などでも好評をえる。海外の舞台芸術祭にも意欲的に参加し、アジアでは広く知られる演出家となっている。

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