大気汚染が悪化している中国では、この1カ月の間、青空が見えたのはわずか5日で、中国中東部地域では汚染が140万平方キロにも広がっています。健康をひどく脅かす大気汚染の対策に、市民はマスクや空気清浄機を使っていますが、一方、研究機関はナノテクによって大気汚染の改善に取り組んでいます。
大気汚染は人間の呼吸器、循環器、神経系に危害をもたらすため、最近はマスクが外出の際の必需品になっています。北京市のテレビ局に勤務する女性、曾さんに話を聞きました。
「建物の9階や10階の高さが大気汚染が最もひどいとされているが、私たちのオフィスは9階にあるので、汚染のひどい日は体の不調を訴える人が特に多かった。マスクが欲しくて会社の医務室に問い合わせたところ、大気汚染に利くという新型マスクN95はもう品切れだった。いろいろとつてをたどり、ようやくアメリカの友人に頼んで買ってもらった」
マスクが品切れになる一方、空気清浄機も売れ筋商品となっています。中国では、大気汚染の程度を、直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質「PM2.5」の大気中濃度で表していますが、このPM2.5が最近人々が関心を寄せるキーワードになっています。また、研究機関やハイテク企業も空気清浄技術の開発に取り組んでいます。
アメリカ・ハワイ大学環境・素材研究所の董良傑客員教授は「今開発中の風力ナノ・イオン技術は、風力を集中させイオンでPM2.5を瞬時に炭化する仕組みで、効率も高い。これまでの空気浄化技術は排気としてオゾンを出すが、この技術のオゾン排出量は低い。汚染が深刻な工場にはこの技術を利用する部分が大きい。発生源からPM2.5の拡散と排出を抑制し、あらゆる人に利益をもたらすことを目指している」と述べました。
アメリカ・カリフォルニア州立大学理工学部卒業の冉宏宇博士も、チームを率いてナノテク研究に励んでおり、ナノ技術を使った新型空気清浄機も開発しました。
この新型空気清浄器を購入した李さんに話を聞きました。
「PM2.5についていろいろ調べたが、この微小粒子物質は肺に吸い込まれると排出することができないので、人体にとっては一生被害が続く。空気清浄機は持ち歩けないが、せめて家の中では被害を減らそうと思っている。これを使ったら、咳などの症状が著しく改善した。親戚も今はこれを使っている」と話していました。
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