中国の温家宝首相は、全国人民代表大会で行なった政府活動報告で、「経済発展モデルの転換を速め、技術開発や内需が主導する方向に向け、中国経済を大いに推進していく」と強調しました。これは中国国内だけでなく、海外からも大きな関心を集めています。
世界銀行北京駐在首席代表を務めたことがあるアメリカの中国問題専門家ボテリア氏は、次のように話しています。
「金融危機の影響によって、中国の指導者は経済発展モデルを転換することの緊迫性を認識した。その認識はこれまでにないほどはっきりしたもので、その転換を推し進めようとする中国政府の決意は強いものがあると見られる」
ロシア科学アカデミー極東支部、中国経済社会研究センターの責任者オストロフスキー氏は、中国政府の決意は中国だけでなく世界経済の成長にも役立つだろうと述べています。
「中国経済の発展とそのスピードは世界経済の成長に影響を与えるだろう。昨年、中国経済の高い成長がなければ、世界経済の状況はもっと悪くなったと思う。今回、中国が経済発展モデルの転換を速めることは、世界経済の発展にプラスである」
中国は経済発展モデルの転換で、低炭素経済を進め、経済成長と環境保全のバランスを取ることを重点にしていますが、これについて、日本貿易振興機構アジア経済研究所の佐々木智弘研究員は「世界各国にヒントを提供することになる」と話しています。
「私の理解では、経済発展モデルの転換というのは、高度経済成長から持続可能な経済発展というモデルに転換するということだ。その重要なところは、環境保護や省エネ型の産業構造への転換などだと想定されるが、それは決して中国に限ったことではなく、日本やアメリカなどの先進国を含めた世界的な課題だと言える。だから、これから中国でどのようにモデル転換が行われるのか、その成果は、世界各国にヒントを提供することになるだろう」
佐々木研究員は、さらに「経済成長に伴う格差の問題などをなくすことも必要だ。この面で、日本の経験を学ぶことができる」と語りました。
「日本が60年代に高度経済成長を行なっていた後に、都市と農村の格差や社会保障制度の問題、環境汚染などいろいろあったけれど、どうやって克服したかという経験、失敗例を学んだほうがいいのではないかと思う。日本の場合は、年金制度という20年くらいの制度がおかしくなっているが、そこで中国は、なぜ日本の制度がおかしくなったのかというところを勉強して、中国の改革につなげていったらいいのではないかと思う」。
| ||||
© China Radio International.CRI. All Rights Reserved. 16A Shijingshan Road, Beijing, China. 100040 |