「ブ源」と一口に言っても、中心となる町があり、観光客が目指すのは町から少し離れたところにある村です。 のどかな山の中を走り、やがて、観光バスが何台も隙間なく止められている場所につきました。「橋と水の流れの故郷」と言われる李坑村です。何でも李という姓を持つ人が多かったため、この名前がついたとか。

吸い込まれるように門をくぐる観光客
さて、大勢の観光客の流れに身をまかせて、村の中へと進んでいくと、日本語が書かれた案内板を見つけました。どうやら、ここは、中国人観光客のほか、日本人もよく訪れるようです。
村の中を流れる川には小船が浮かび、ゆらりゆらりと漂っています。春の名残を惜しむように、遅咲きの菜の花も私たちを迎えてくれます。
と、ここまでは日本にもよくある農村の風景です。正直、自分の田舎とさほど変わらない風景を見て、なぜこんなところに大勢の人が来るのか、と不思議に思っていました。
しかし、前述したようにここには、多くの人を魅了する文化が今もしっかりと生きているのです。

日本によく似た農村の風景
農道はいつしか石畳の道へと変わり、両側には白い壁と黒い瓦屋根の建物が並んでいます。白と黒のバックに吊り下げられた赤いちょうちんがアクセントを加えています。
石と木でつくられた建物は、徽派文化の一つです。建物をよく見ていくと、窓枠や、手すりには、細かい彫刻がほどこされています。これが建物を一層モダンにしています。
このような洗練された文化が残ったのには、理由があります。この地方は、科挙試験に合格し、当時のエリートをたくさん輩出している場所なのです。科挙試験に合格することは、立身出世。まさに「故郷に錦を飾る」ことでした。そのため、旧家、名家のお屋敷が多く、今も大切に残されています。建物に入ると、そこにはまだ当時の空気が残っているようです。建物の随所に手のこんだ彫刻があります。一体、どんな人が住み、どんな職人がこれを作ったのでしょうか。イメージは膨らみます。しかし、ここにあるのは、古の人々のイメージだけではありません。

お城を思わす白と黒の建物

独特のつくりの窓枠
この村には、今も村人がそのままそこで生活しているのです。日本では生活の場と観光地とは区別されますが、ここは観光客を受け入れながら生活を続けているのです。川で洗濯しているおばあさんの姿もあれば、昼ごはんをつくっている女性の姿もあります。表通りをひょいと曲がり、裏通りを歩けば、お茶を飲みながら歓談する人々にも出会えます。ここはまさに生きている文化財です。文化財は過去のものではなく、今もしっかりと彼らの生活の中に生きています。これがこの村の最大の魅力ではないでしょうか。

古い窓枠に干された洗いたての靴
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