と、そこへ、なにやら勇ましい声が。
物売りの声です。
筏で栗やチマキを売る女性たちです。「チマキだよ、いりませんか?」と元気な声で筏を近づけてくる女性。記者が録音機を取り出すと、さっきまでの威勢はどこへやら、「録音するなら、言わないよ」と照れくさそうな顔です。

筏を寄せ、チマキを売る女性
おそらく龍虎山の観光開発が進むまでは、農業を営んできた人たちでしょう。
船頭さんも、物売りのおばさんも、日の焼けた顔からは労働の厳しさを感じさせます。
今後の観光収入によって、彼らの生活も変わっていくにちがいありません。
開発と環境破壊は対立するものと考えられがちです。しかし、そこで暮らす人々の生活の向上もやはり必要であり、環境保護と開発をいかに進めていくのかが、今後はますます重要になっていくでしょう。
さて、船はゆるりゆるりと進みます。ガイドさんが岩の中腹を指しています。よく見ると、岩壁にはいくつかの穴が空いており、その中に長方形の箱が置かれています。
この箱は棺おけです。中国語で升棺と言います。

話しには聞いていましたが、見るのは初めてです。
人が切り立った岩の上から、ロープを使って岩壁の中腹の穴に着き、お棺は船で岩壁の下に運ばれ、壁の穴まで上から吊り上げられたそうです。
ひっそりと、誰にも近づけないような場所に置かれた棺。お参りもできません。なんとも孤独だなあと思いましたが、岩穴をながめているうちに、人間の死を迎え肉体だけとなり、蒼い空、緑の木々、岩穴を通り抜ける風、悠々と流れる川に囲まれ、長い時を経てまた自然へと還っていくようなイメージが浮かびました。
さて、明日は、知らない人はいないと言われるほど有名な山、三清山を訪ねます。(文・写真:吉野綾子)
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