4月24日、日本出身で、世界でも活躍されているデザイナー、山本耀司さんのファッションショーは北京の太廟(紫禁城、つまり故宮博物院の隣にある皇帝が祀られた場所)で行われました。
山本耀司さんは大分前から中国のファッション業界に関心を寄せています。今回のファッションショーは、中国友好平和発展基金会(CFFPD)の下で、中国の若手デザイナーやモデルを養成する「山本耀司平和基金」を設立することを祝うものです。
中国友好平和発展基金会の扈健懐秘書長は「外国のファッションデザイナーがファッション専門の基金を設立するのは、これが初めてだ」として、次のように述べました。
「基金の設立には二つの目的があり、まずは、中国のファッションデザインのレベルアップに手助けをすることだ。有望なファッションデザイナーやモデルを選んで、海外へ研修に行かせて世界最先端のファッションの理念や技術を身につけさせる。もう一つの目的は、中国のファッション業界と世界の交流を推進することだ。世界のトップレベルのデザイナーである山本耀司さんが中国のファッションデザインの世界進出に協力していただけるのは、大変喜ばしいことだと思う。」
中国では、最近、ミラノコレクションやパリコレクションに進出しているデザイナーが出ていますが、まだまだ少ないです。山本耀司平和基金では2008年から、年に一回デザイナーとモデルのコンテストを行い、デザイナーコンテストで選ばれた若手デザイナーを日本やヨーロッパのファッションデザイン学校へ二年間留学させる、また、モデルコンテストで選ばれたモデルのパリコレ進出を支援することになっています。
そこで、今回、設立された山本耀司平和基金は中国のファッション業界にとって特別な意義があるだけではなく、中日間の交流にとっても意義があります。中国駐在日本大使館の道上尚史公使は基金の設立について「難しい話ではなくて、ファッションのことなので、多くの若者、女性が関心を持つものだ。中国のデザイナーもだいぶ育てたが、それはヨーロッパと、或いは日本と交流して、さらにレベルアップしていけば、中国にとってもいいし、日本にとっても、山本さんにとってもいいことだと思う」と評価しています。
今回のショーで展示されていた洋服は山本耀司さんが今回のために改めてデザインしたもので、あわせて60セット、レディス服と紳士服両方あります。異なる素材のミックスマッチや黒、白、赤など純粋な色とシンプルなデザインで観客の目を引き付けました。
ファッションショーの場で、日本の方もおなじみの中国の映画監督で、カメラマンの第一人者ともいえる顧長衛さん、新鋭監督の賈樟柯さんなど有名人や香港フェニックステレビファッションキャスターの李輝さんも今回のファッションショーを鑑賞しました。今回のファッションショーについて、李輝さんは「デザイン手段の豊かさと文化の融合が表れたと思う。また、違う素材のミックスも絶妙で、特に重なる効果が印象的だった。違う素材と違う重ね方で作られた洋服は特別なイメージがあった」と言っています。
また、会場で『ブランド』という雑誌の編集長、洪晃さんも見かけました。中国のブランドについて、洪晃女史は「中国のファッション業界はまだスタート時点にあり、ブランドといえるものはまだ少ないが、将来必ず中国デザインの世界的なブランドが出てくることを信じている。また、そのつど、人々の美意識はさらに変わるだろう」と話しています。
ファッションショーの後の4月26日に、ショーで紹介された衣装のオークションもありました。それで得た収入は基金のスタート資金にするということでした。(続き)
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