北京
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中国の医療システムには長らく多くの問題が山積している。例えば診察が難しいこと、診察費用が高いこと、医師と患者の関係の信頼関係が構築できていないことなどが挙げられる。これらの問題の根源の一つは、医療資源の分配が不均衡であり、良質な資源が過度に限られた場所に集中していることにある。9月8日、中国商務部と国家衛生健康委員会、国家薬品監督管理局は共同で、『医療分野における開放拡大試行業務の展開に関する通知』を発表し、北京市、天津市、上海市、江蘇省南京市、蘇州市、福建省福州市、広東省広州市、深セン市、海南省の全島に、中医類病院や公立病院の買収を含まない外商独資病院の設立を許可するほか、外商投資企業も北京市、上海市、広東省の3つの自由貿易試験区と海南自由貿易港で、ヒト幹細胞や遺伝子診断、治療技術の開発と技術応用に従事することが許可された。
外商が中国で独資病院を設立することが許可されたというニュースが出るやいなや、それは社会世論を揺るがすホットな話題となった。その中には、外資系病院が参入すれば、市場競争が活性化され、「診察難」が緩和されるかもしれないが、高額になるであろう医療費は人々を恐れさせ、すでにある「診察高」を激化させると考える「懸念派」もいる。一方で、国内の医療資源を豊富にし、国際と連携することで国内病院の医療レベルを向上させ、医療サービスの価格がより合理的に促され、患者が良質な診療サービスを享受できるようになると考える「楽観派」もいる。
専門家は、外商独資病院建設の許可は、サービス業の対外開放の大きなブレークスルーだとの見方を示した。実は、改革開放40年余り、中国医療市場の対外開放のペースはずっと停滞していない。国家衛生健康委員会が発表したデータによると、2021年時点で中国の外商投資医療機関数は計302カ所で、年々増加傾向を示している。しかし、全国の107万を超える医療保健当局の総数に比べて、外国投資医療機関が占める市場シェアは依然として小さい。これらの施設は主にアセットライト経営で運営されている診療所や外来診療所(188カ所、62.25%)が中心である一方、その病院数は比較的少ない(114カ所、37.75%)。
現在、上海市には十数カ所の中外合弁医療機関があるが、外商独資医療機関は上海永遠幸婦科医院の一つしかない。同院は中国国内初の外商独資病院で、日本永遠幸グループの17番目の医療機関チェーンに属し、婦人科、不妊治療を特色とした病院だ。上海自由貿易区の改革開放深化の一連の政策の下、2015年に上海自由貿易区外高橋保税区に建設され、2016年5月に正式に開院した。それから8年余り。開業から3年後に利益納税を開始し、累計で延べ16万人余りにサービスを提供し、妊娠補助治療を経て1841人の新生児が生まれたと病院の責任者は語っていた。中国初の外商独資病院として、上海市に進出して8年を経て、上海永遠幸婦科医院はすっかりと中国本土に溶け込んだ。現在、この独資病院は上海市第一婦人幼児保健院、上海市第七人民病院などと学術協力関係を構築し、紹介ルートを開通している。
統計データによると、現在、中国の医療市場規模は年間9万億元を超えている。今後も成長を続け、2025年までに12万億元を突破する見込みだという。外国の病院は運営管理、コストコントロール、患者体験などの面で学ぶに値する点が数多くあり、これらの先進的な経験の導入は国内の病院の管理レベルや管理モデルの革新を高めるのに役立つだろう。そして、最終的に利益を得るのはやはり庶民なのである。(CMG日本語部論説員)
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