「宇宙ジャガイモ」の種子1.5万粒 内蒙古で試験栽培

2024-05-07 12:53:33  CRI

 「宇宙の旅」を経たジャガイモの種子1万5000粒がこのほど、内蒙古自治区ウランチャブ(烏蘭察布)市商都県で試験栽培されました。中国では農作物の種子を人工衛星に搭載して宇宙線にさらすなどで遺伝子の変異を誘導し、その中から優良な品種を選出する事業が続いています。

 商都県小海子鎮では、作業員が国家ジャガイモ工程技術研究センターの科学研究者の指導の下、基準を厳守しつつ畑に宇宙ジャガイモの種を植えました。中国では2022年以降、選りすぐったジャガイモの種子8万6000粒あまりが宇宙船「神舟」に搭乗されて「宇宙の旅」を行い、うち1万5000粒が地上に戻った後に、ウランチャブ市内の大規模農園で栽培スクリーニング評価を受けてきました。関係者によると、今年の宇宙育種の作付け面積は約1ヘクタールです。8月末から9月初めまでの間には基準に基づき、収量が高く、でんぷんの含有量が多く、病害に強いなどの特徴を持つイモを集め、来年の4月から5月には改めて作付けして特に優れたイモを選別します。今回の育種では、これまでの遺伝育種の手法に最新の遺伝子編集技術を追加し、ジャガイモのゲノムを正確に編集することで、品種改良を加速します。

 従来の育種技術と比べ、宇宙育種の最大の強みは、突然変異誘発率が高く、育種期間が短いことです。かつては、新しい育種素材を見つける場合に10年から20年もかかる場合がありましたが、宇宙空間を利用することで比較的短時間で大量の突然変異素材を持ち帰ることができるので、いわば育種のための「ショートカットキー」が得られることになります。

 ウランチャブ市には現在、内蒙古ジャガイモ科学観測実験ステーションなど5つのジャガイモ国家級革新施設があり、種苗業界の科学技術革新が加速しています。自主的に選抜・育成された干ばつに強く、多収率、抗病性、高でんぷんのジャガイモ新品種はすでに登録と普及の段階に入っており、中でも、干ばつに強く、でんぷんを多く含有する新品種の「蒙烏芋6号」は、そのまま食材にすることができるだけでなく、でんぷん加工用としても利用でき、市場の将来性に富んでいることから、干ばつ地域のジャガイモ品種の国産化を加速すると見られています。(Yan、鈴木)

KANKAN特集

ラジオ番組
KANKAN特集