【観察眼】「製品輸出」=「生産能力が過剰」?

2024-04-22 19:57:46  CRI

 最近、米国をはじめとする西側の一部の国の政治家やメディアが繰り返し、「中国の生産能力過剰」論を騒ぎ立てている。彼らは、中国の電気自動車(EV)など新エネルギー産業では、政府からの補助金措置により過剰な生産能力が生まれ、過剰分を消化するために海外向けダンピングを行って、他国の経済に被害を与えていると主張している。

 中国の新エネルギー生産能力は本当に過剰なのだろうか。新エネルギー車について言えば、米ブルームバーグが先日発表した報告書は、中国の新エネ車輸出量の生産量に占める割合はドイツ、日本、韓国などを大きく下回り、「生産能力の過剰」や「海外へのダンピング」には根拠がないと指摘している。フランスの実業家アルノー・ベルトラン氏もSNS上の投稿で、設備稼働率、在庫水準、利益率という三つの主要指標から見て、中国で工業生産能力が過剰に陥っている兆しは出ていないと述べた。

 中国の新エネ車などは輸出が増加する中で、その価格も上昇しており、海外での販売価格は中国国内より高く、一部の有名ブランドのEVの欧州市場での平均価格は中国国内の2倍にもなっている。それにもかかわらず、これらの製品が西側諸国で売れ筋となっているのは、中国の新エネ分野における優位性を表している。この優位性は世界市場の需要と中国企業の効率などがもたらしたものであり、市場のルールが働いた結果であって、西側諸国が言う「過剰な生産能力」や「ダンピング」とは全く無関係である。

 市場ルールを言うなら、西側諸国の一部の政治家やメディアはよくよく勉強する必要があるだろう。ある製品の生産量が国内需要を満たした後、余剰が生じれば輸出に回されるのは当然である。生産能力が自国の需要を上回ることをもって「生産能力が過剰だ」と言うなら、「製品の輸出」は「過剰な生産能力」によるものだということになる。「過剰な生産能力」を回避するために、各国が国内の消費需要だけを満たす生産に徹するのであれば、貿易は消えてしまう。これくらいのロジックは西側諸国も分かっているはずである。

 世界のオペレーティングシステム(OS)を主導するマイクロソフト、スマートフォン大手のアップル、世界のチップの覇者NVIDIAは、生産能力が過剰だと言えるのだろうか。米国で生産される農産物の5分の1が中国に販売されている。昨年ドイツでつくられた自動車の75%が海外に販売された。これらの状況を「ダンピング」と言えるのだろうか。

 中国の新エネ製品の世界シェアが拡大し続けているのは、早い時期の計画、持続的な技術革新、健全な産業チェーン・サプライチェーン、勤勉な労働力と十分な市場競争が主な原因である。多くの中国企業が技術革新によって生産コストを下げ、一般市民が手ごろな価格で新エネ製品を入手できるようにしてきた。

 実際には、西側諸国も新エネ分野で市場シェアの向上に努めている。ただ、彼らが頼りにしているのは、「補助金」のようだ。米政府が打ち出した「インフレ抑制法」では、税控除や補助金などの手法によりEVを含むクリーンエネルギー産業に約3690億ドルを支援している。米国はまた、『CHIPS法』を通じて、国内のハイテクや新興産業の発展を支援するために連邦資金を拠出している。欧州の多くの国でも、企業に対する税の減免から購入者への優遇まで、EV産業への幅広い補助金措置が実施されている。

 西側諸国がまたもや「ダブルスタンダード」をやっているのは明らかだ。その背後にある理由は理解に難くない。昔の中国は加工貿易しかできなかったが、今はハイテク、高付加価値の生産も行えるようになった。中国はグローバル産業チェーンでの分業において絶えず上流を目指して進んでおり、世界市場である程度の優位性を形成している。これが西側諸国の敏感な神経に障った。世界の産業チェーン・サプライチェーンにおける自らの主導的地位と利益を守るために、西側はさまざまな手段を通じて中国を中傷し、圧迫している。

 そのように考えると、本当に「過剰」なのは中国の生産能力ではなく、米国など西側の「保護貿易主義」や「経済的脅迫」「覇権主義」である。このような「過剰なもの」が続けば、世界貿易の健全性と公平性、各国のグリーン・低炭素へのモデルチェンジ、世界の気候変動対策に影を落とし続けるだけだろう。(CMG日本語部論説員)

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