【CRI時評】米国代表はなぜ「トゥキディデスのわな」は必然ではないと発言したのか

2024-03-29 14:39:03  CRI

 習近平国家主席は27日、米国の商工業界と戦略学術界の代表と北京で会見し、世界の注目を集めた。習主席が米国人と直接対話するのは、2023年11月にサンフランシスコで開かれた中米首脳会談以来だ。習主席は会見で、「サンフランシスコでの会談における最大の共通認識は、中米関係を安定させ、より良くすることだ」と指摘し、米国代表は「『トゥキディデスのわな』は必然ではない」との見解を示した。

 興味深いことに、会見に参加した米国代表の一人であるハーバード大学ケネディ行政大学院初代学長のグレアム・アリソン教授は、「トゥキディデスのわな」という概念の提唱者だった。アリソン教授は2012年、古代ギリシアの歴史家トゥキディデスによるペロポネソス戦争の論考を借りて、台頭する大国と防衛する大国との間には激烈な紛争が生じ、戦争に至る可能性があることを明らかに示した。近年、米国が中国を最も重要な戦略的競争相手と見なすにつれ、多くのアナリストが「トゥキディデスのわな」を引用し、中米関係の先行きに対する懸念を表明した。

 今回の会見での米国代表の態度は意味深長だった。彼らはなぜ「トゥキディデスのわな」は必然ではないと発言したのか。それは、三つの側面から見ることができる。

 中国と米国それぞれの成功は双方にとってチャンスだ―この理屈は、すでに事実とデータにより繰り返し検証されてきた。両国の貿易は国交樹立以来200倍以上に増え、2023年の2国間貿易額は4兆7000億元(約98兆円)に達した。目下、7万社以上の米国企業が中国に投資して事業を展開しており、年間利益は500億ドル(約7兆5700億円)を超え、中国経済に活力をもたらした。両国の貿易は260万人を超える米国内の雇用を支え、両国の経済貿易関係の本質は互恵とウィンウィンであることが分かる。

 中国は現在、新たな質の生産力の育成と発展に積極的に取り組んでおり、伝統産業の転換や高度化だけでなく、新興産業と未来産業の発展は、すべて米国企業により多くのチャンスをもたらすだろう。同時に、中国は2024年版外商投資参入ネガティブリストの導入を加速し、製造業分野での外資参入規制措置を全面的に取り消し、電気通信や医療などサービス市場への参入の緩和を推し進めている。これらの措置は、米国企業の発展空間をより広くするもので、アップルやクアルコムを含む米国企業のトップは、中国への投資を継続して拡大し、革新的な協力を続けていくと表明した。

 「トゥキディデスのわな」は必然ではないという言葉には、米国の政権担当者が中国を正しく認識してほしいという米国の商工業界や戦略学術界の期待も含まれている。

 近年の中米関係の浮き沈みを振り返ると、問題の本質は米国が中国を最も重要な戦略的競争相手と誤って見なしたことにある。サンフランシスコでの中米首脳会談以来、両国関係は改善し、ある程度の進展があった。しかし中国に対する米国側の誤った認識は依然として続いており、中国を抑圧する手法は絶えず刷新され、一方的な制裁リストは延長し続け、米国商工業界の強い反発を招いた。

 習主席は会見において、「両国が互いをパートナーと見なし、相互尊重、平和的共存、協力とウィンウィンを実行すれば、中米関係は良くなる」と述べた。これは、米国の政治家が深く考えるべきことだ。

 「トゥキディデスのわな」が必然ではないのは、中米両国民の交流と友好に由来するものだ。中国は昨年11月、今後5年間に米国の青少年5万人を交流と学習のため中国に招待すると発表した。その少し前には、米国ワシントン州の中学生から成る訪中グループが中国各地を訪問して交流した。同時に、アップル、クアルコム、マイクロンなどを含む多くの米国企業の幹部に新たな「訪中ブーム」が起きた。さらに両国の航空会社は31日から、定期旅客便の最大便数を現在の週70便から週100便に増便し、人的往来の需要を満たすようになる。

 今年は中米国交樹立45周年に当たる。現在の状況において、中米の共同利益は減少するどころか、むしろ増えている。アリソン教授は大国の共存の道について新たな認識を持っており、「習近平主席が中米関係を発展させるために提案した三つの原則は極めて重要で、豊富な啓示が含まれている。米中は協力すべきであり、正しい共存の道を見つけなければならない」との見解を示した。

 「トゥキディデスのわな」が必然ではないという考え方は、米国商工業界や戦略学術界の人々の共通認識であり、米政権の共通認識にもなるべきだ。習主席が指摘したように、中米関係は過去に戻ることはできないが、より良い未来を持つことは可能だ。(CRI論説員)

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